抄録
現在、文明的スヶールの変化が起きつつある。それは、これまでモダン社会を導いてきた効率や合理性を中心とする機能優位の発想が行きづまり、意味の文明へ変態する過渡期をあらわす。先進産業社会では、豊かな社会が実現したことで、従来の構造と機能の発想には収まりきらない現象が多発し、ゆらぎ社会の状況を呈するようになった。その原因は、意味のメカニズムが自己主張を始めだしたことにある。いま必要なことは、意味をキーワードとした社会理論づくりをすることである。そのためには従来の機能主義的理性を脱構築した、意味とコミュニケーション的行為の理論化が要求される。本稿では、自己組織性論の立場からこのテーマに取り組み、批判的モダニズムのコミュニケーション的行為を参照しつつ、脱モダンな社会理論のフロンティアを模索する。主要な論点は、意味の文明が立ちあがるためには、合意形成と社会統合というモダンの理念にたいするノスタルジーからの決別、および違いに耐える精神構造と差異を編集して意味形成をおこなう組織づくりが必要とされることである。