社会学評論
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地位達成における地域間格差と地域移動
学歴・初職に対する影響の計量分析
林 拓也
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1997 年 48 巻 3 号 p. 334-349

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抄録

本稿では, 現代日本において, 地域における機会の格差がどの程度個人の地位達成に影響を及ぼしているのかを分析する。データは, 1995年に実施されたSSM全国調査における25~59歳男性サンプルを用いた。方法上のアプローチとしては, (1) 地域区分に関して, 機会の多寡を反映するように, 六大都市/大都市周辺都市/地方中核都市/その他地方都市/村・町という区分を用い, (2) 地域移動の可能性も考慮に入れ, 前住地による格差を対象とし, (3) 地域移動者と非移動者とを比較する視点から分析を行った。学歴達成については, 地域格差が特に非移動者において顕著であり, 大都市およびその周辺都市の出身者が高い学歴を示す。また, 地域移動は高等学歴へのアクセス手段であることが示唆される。その変動を見るために, 出生コーホート別に分析を行った結果, 若いコーホートにおいてその格差が再び拡大していた。初職達成においては, 学歴達成の場合と異なった形の地域差が見られ, 職業威信スコアで見た場合, 教育地が大都市の者が最も低いスコア, 地方都市の者が最も高いスコアを示していた。ただし, これは地域における機会ではなく, 出身階層や教育機関の特性など他の要因によるものである。

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