抄録
本稿では, 国家が提示する政策における差異の根拠について, 福祉国家を素材として理論的に検討し, 主としてスコッチポルたちが提唱する「国家-中心アプローチ」に対して批判を試みる。そのためにまず, 福祉国家 (形成) における具体的な「差異」を確認したうえで, 福祉国家を含めた資本主義国家の政策形成のプロセスを, 階級をはじめとする社会関係からのインプット, 国家成員によるインプットされた利害関心の政策への媒介あるいは変換, 媒介された利害関心の政策としてのアウトプットとして把握する。次に, 資本主義国家の構造的種差性として国家成員が必ずしも階級には還元されない独自の利害関心を持つことを確認する作業を通じて, アウトプットに依拠して政策の類型化あるいは差異化を行うことは理論的に限界があることを明らかにする。最後に, 冒頭で確認した福祉国家における「差異」の発生に関して, 提示した新たな枠組に基づいて簡単な概観を試みる。