社会学評論
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分配する最小国家の可能性について
立岩 真也
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キーワード: 福祉国家, 社会政策, 分配
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1998 年 49 巻 3 号 p. 426-445

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抄録
1) 国家による生存のための資源の分配と, 2) その資源の使途についての個々人の直接決定の最大化とは共在しうるし, また私達はその結合を追求すべきである。
もし生存が権利であり, したがって生存の支持が義務であると考えるなら, 1) が採用されるべきである。なぜなら, 国家だけが法によって国民に義務を課すことができるからである。国家による分配の限界は, 国境内に義務を課しつつ, しかも人と財の移動が国境を越えてなされることにある。したがって, 社会的資源の調達と配分において私たちが採るべき方向は, 国家間の格差の是正であって, 国家から「コミュニティ」への移行ではありえない。
他方, 2) はあらゆる社会政策, 社会的支出の再考を私たちに迫るものである。すなわち, 私たちは, 特定の目的のために予算が使われること (例 : 景気浮揚) の一切を生に対する余計な介入ではないかと疑ってみることができるのである。社会サービスにおいては利用者の直接選択が困難であるとしばしば言われる。この指摘は部分的には正しい。しかし, 私たちはそうした場合がいったいどれほどあるのかを再検討し, 利用者による直接選択を増やしていくことができる。また, 利用者の決定に対する社会的支援が必要な場合でも, 不要な介入を減少させるための方途を作りだしていくことができるのである。
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