抄録
本稿のねらいは, 1960年代後半から70年代にかけて盛り上がりをみせた住民運動が, 80年代から90年代にどのような軌跡を描いたかを示すことにある。こうした作業は, 近年注目されているNPOや住民投票の特質を明らかにするために不可欠である。ここでは特に, 政治的機会構造論を応用する形で, 住民運動の変遷を捉え直す。その際, Kriesiの組織類型を援用することで組織戦略を幅広く捉え, 住民運動の「停滞・変容」期にみられた組織の多様化を組み込んだモデルを提示する。具体的には, (1) 地方における政治的機会構造の変動, (2) 組織が構成員に供与する誘因の構造という2つの説明変数を用いて, 住民運動の組織戦略の変化を分析したい。