社会学評論
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障害者支援ボランティアにおけるミッションの再帰性と「支え合い」の技法
佐藤 恵
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2002 年 53 巻 2 号 p. 102-116

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抄録
本稿では, 阪神大震災直後から被災障害者支援のボランティア・グループとして活動を行ってきた被災地障害者センター (神戸市長田区, 1999年にNPO法人化, 2000年以降は介護保険指定事業・障害者ホームヘルプサービス事業を展開) の取り組みを事例研究し, 障害者支援ボランティアにおけるミッションの再帰性と「支え合い」の技法に関する考察を行う.センターは発足当初より「障害者問題へのこだわり」という「原点」=ミッションに立脚するが, そうしたミッションは, 活動の諸ステージや諸課題を貫通して, あらかじめできあがっている確固とした組織目標というよりは, むしろ再帰的なものであり, スタッフ間の交渉を通し, 「障害者問題にこだわってやるのか否か」, 「障害者問題にこだわってやるとはどういうことか」をめぐり, その意味が不断に再確認・再解釈され続ける過程である.こうしたミッションの再帰性によって, 支援者が障害者のニーズを「発見」し, ニーズに即した自己決定の支援を行うことが可能となる.その上でセンターは, 事業者として制度を「利用」し, 事業収入を活動継続のための資源として獲得しながらも, 制度・ルール・マニュアルによる規制を必然視しない「隙間の発見」という技法, 及び, 制度の枠内の事業者役割と制度の枠外のボランティア役割という, 複数の多元的現実を同時に生きる「混在」と呼ばれる技法を編み出し, 「支え合い」を実現しようとしているのである.
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