社会学評論
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ダム建設計画をめぐる対立の構図とその変容
運動・ネットワーク形成と受益・受苦に注目して
帯谷 博明
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2002 年 53 巻 2 号 p. 52-68

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抄録

本稿は, ダム建設計画を例に, 地域社会の対立の構図とその変容過程を明らかにし, 計画段階における〈開発問題〉を捉える新たな関係図式の提示を行う.高度経済成長期を中心に各地に計画された大規模開発の中には, 近年, 長期間の地域コンフリクトを経て計画の見直しや中止に至る事業が見られるようになっている.数十年間にわたって事業計画に直面してきた地域社会では, その過程でさまざまなアクター間の利害対立とその変容を経験している.本稿は, これを計画段階における〈開発問題〉として把握する.ではこの〈開発問題〉における利害関係のダイナミズムは, どのように捉えられるだろうか.
具体的には, 機能主義を背後仮説とする受益圏・受苦圏論を再検討した上で, まず, 開発計画をめぐる受益と受苦が住民にどのように認識されていたのかを分析する.さらに, 主要なアクター間のネットワークに注目する.「よそ者的視点」をもつキーパーソンを結節点とするネットワークが, 運動の拡大のみならず, 住民の受益・受苦認識の変容を迫り, その結果, 利害対立の構図自体が変容していくことを見出す.結論部では, 本稿の分析から得られた関係図式として, 受益・受苦と運動・ネットワークとの「相互連関モデル」を示す.

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