抄録
重荷電粒子飛跡の高分解能可視化を目的として,単結晶ダイヤモンド基板を用いた新しい蛍光飛跡検出器(FNTD)を開発した.単結晶ダイヤモンド内部では窒素と原子空孔が結びつく形で蛍光中心(NVセンター)が形成される.荷電粒子の照射下では無数の原子空孔が粒子飛跡に沿って形成されるため,その領域にNVセンターが分布する.NVセンターは室温下で緑色レーザー励起により明るい赤色蛍光を発生するため,ダイヤモンド内部を所定波長のレーザーにより走査することでイオン飛跡を可視化するFNTDを開発できる.とりわけ本報告では,自作共焦点顕微鏡により窒素イオンやオスミウムイオン照射飛跡の計測例を示しながら,ダイヤモンドを用いた飛跡観察の利点を示す.