抄録
フッ素系高分子材料は,耐化学薬品性が高いがゆえ,従来の微細加工技術が適用できない.そこで,放射線には容易に分解される特性を利用した微細加工技術の研究が進められている.我々は放射線の中でもイオンビームに着目し,イオンビームがもたらす多様な照射効果を利用した新しい微細加工技術の開発に取り組んできた.イオン注入法では,PTFE表面に金型を利用することなく,照射だけで芝生のような微小突起が密集した構造面を作製できる.プロトンビーム描画法では,入射イオンがPTFE内部に侵入する過程で発生した分解ガスを利用し,PTFE表面に内部から隆起した頂点を持つ構造体を作製することができる.またプロトンビーム描画法の後にイオン注入法を行うことによって,芝生状突起構造面に平滑な線の描画形状が形成された構造を作製できる.本稿では,イオン注入法,プロトンビーム描画法,および両手法を組み合わせた計3種類の技術を使って得られる微細加工法について述べる.