抄録
我々はChatterjeeとSchaeferらが提唱したcore-penumbraモデルを用いて,粒子種の違いによる生物影響をトラック構造の観点から考察してみた。細胞致死において電離や励起が重なり合うcore領域の電離密度が高い粒子線ほど高い細胞致死効果を示すことを明らかにした。またOHラジカルによって生じるDNA酸化損傷である8-OHdGをエンドポイントにすると,二次電子からなるpenumbra領域が広い粒子線ほど8-OHdGが大量に生成されることが判明した。これらの実験から,我々は電離や励起の空間的・時間的分布の違いが異なる生物影響として観察されるものと考える。