抄録
我々は,固体にフェムト秒レーザー駆動衝撃波を負荷することによって,従来衝撃圧縮法では達成されない準安定高密度相の凍結や,高密度格子欠陥の導入に成功してきた.これらの機構を解明するにはその場計測が有効であり,格子のダイナミクスを直接描画するにはX線回折(X-ray Diffraction: XRD)が適している.従って,フェムト秒レーザー駆動衝撃圧縮下のその場XRDを実施すれば良いわけであるが,フェムト秒レーザー駆動衝撃波の立ち上がり時間は数psであり,高圧保持時間はns以下であるため,そのダイナミクスを計測するにはps以下の時間幅のプローブが必要である.また,フェムト秒レーザー衝撃圧縮下で起こる現象は物質の初期状態に大きく依存するため,シングルショットでの計測が不可欠である.これらの条件を満たすのがX線自由電子レーザー(X-ray Free Electron Laser: XFEL)である.本稿では,フェムト秒レーザー駆動衝撃波による準安定高密度相凍結ならびに高密度格子欠陥導入の例をいくつか紹介し,2012年3月から一般供用が開始したSACLA(SPring-8 Angstrom Coherent LAser)におけるフェムト秒レーザー駆動衝撃圧縮下の時間分解X線回折実験の実施例を紹介する.