2021 年 38 巻 2 号 p. 146-149
喫煙および受動喫煙の健康被害は明白であり、喘息、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)などの治療経過に多大な悪影響を及ぼす。タバコ煙には発がん性、変異原、あるいは催奇形性物質など多種類の有毒化学物質が含まれており、タバコ煙が健康被害を起こすメカニズムには、粘膜などの局所の刺激を介して起こるもの、血流を介して起こる即時的な影響、ニコチン依存、晩発性の影響などがある。喫煙が呼吸器の健康によくないことは常識であるものの、ニコチン依存などによる患者の禁煙支援の難しさも理解しておく必要がある。