日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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教育講演
部分液体換気療法の臨床応用にむけたstrategyの検討
田村 正徳中村 友彦植田 育也岩田 欧介山口 文佳加藤 良美鈴木 昭子朴 成愛福岡 雅楽子山崎 崇志
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2000 年 10 巻 2 号 p. 159-166

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抄録

Perfluorocarbon(以下PFC)を用いた液体換気療法(以下LV)では,肺胞細胞と肺胞間の液相―気相界面が消失する結果,肺胞の表面張力の影響が消失ないし軽減し,小さな圧で肺胞を膨らませることができる.さらにLVのPEEP増強効果やperfluorocarbon自体の抗炎症作用をうまく活用すれば,人工呼吸中の慢性肺障害も防止できる可能性もある.筆者等の動物実験の結果からは,PLVでは,初期のPECの投与量は北米で用いられているmeniscus法よりは少なくし持続補充しながら,大きなPEEPと小さい1回換気量で人工換気すると酸素加が改善するだけでなく,肺損傷も少なくてすんだ.また高頻度振動換気法では,少量のPFCの投与がvolume recruitment に有効であった.LVの臨床応用にあたっては,その特性を正しく理解したうえで,適応疾患やperfluorocarbonの至適投与量や人工呼吸器の換気条件等を決定しておくことが重要であると考えられた.

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© 2000 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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