日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
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10 巻, 2 号
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教育講演
  • 田村 正徳, 中村 友彦, 植田 育也, 岩田 欧介, 山口 文佳, 加藤 良美, 鈴木 昭子, 朴 成愛, 福岡 雅楽子, 山崎 崇志
    原稿種別: 教育講演
    2000 年 10 巻 2 号 p. 159-166
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    Perfluorocarbon(以下PFC)を用いた液体換気療法(以下LV)では,肺胞細胞と肺胞間の液相―気相界面が消失する結果,肺胞の表面張力の影響が消失ないし軽減し,小さな圧で肺胞を膨らませることができる.さらにLVのPEEP増強効果やperfluorocarbon自体の抗炎症作用をうまく活用すれば,人工呼吸中の慢性肺障害も防止できる可能性もある.筆者等の動物実験の結果からは,PLVでは,初期のPECの投与量は北米で用いられているmeniscus法よりは少なくし持続補充しながら,大きなPEEPと小さい1回換気量で人工換気すると酸素加が改善するだけでなく,肺損傷も少なくてすんだ.また高頻度振動換気法では,少量のPFCの投与がvolume recruitment に有効であった.LVの臨床応用にあたっては,その特性を正しく理解したうえで,適応疾患やperfluorocarbonの至適投与量や人工呼吸器の換気条件等を決定しておくことが重要であると考えられた.

シンポジウム1
  • 宮川 哲夫, 長尾 光修
    原稿種別: シンポジウム
    2000 年 10 巻 2 号 p. 167-168
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー
  • 本間 生夫
    原稿種別: シンポジウム
    2000 年 10 巻 2 号 p. 169-172
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    運動時には換気は増大する.その呼吸調節メカニズムには神経性調節と液性調節がある.神経性調節においては運動している筋肉からの求心性活動が呼吸中枢に働き,換気を高めるという研究が多く出ている.さらに最近,中枢内での四肢の筋肉に運動指令を発する機構が呼吸中枢をも駆動しているという考え方がある.ヒトの脳機能を調べる方法が開発されてきており,一部運動時の脳内活動部位も示され始めている.液性調節は運動時の換気亢進に主体的役割を示しており,CO2,pH,Kイオンなどが重要な換気亢進因子となっている.

  • 一和多 俊男, 赤坂 圭一, 多保 優子, 松尾 隆司, 阿部 篤郎, 藤原 寛樹, 長尾 光修
    原稿種別: シンポジウム
    2000 年 10 巻 2 号 p. 173-180
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    COPD患者9名を対象にして運動負荷試験を施行した.%FEV1.0が低い症例は,運動開始早朝から1回換気量が制限されて浅く速い呼吸を呈して胸郭は過膨張し,また呼吸筋活動を反映する節電図積分値と呼吸困難感の間に有意な正の相関関係を認めた.動脈血乳酸値は運動開始早期から増加したが外側広筋血流の指標である組織Hb指数(THI)は変化せず,deconditioningによる有酸素性代謝能が高い遅筋線維比率の低下が示唆された.

  • 藤本 繁夫, 田中 繁宏, 岡本 隆志, 平田 一人, 栗原 直嗣
    原稿種別: シンポジウム
    2000 年 10 巻 2 号 p. 181-188
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    肺線維症患者は,運動時の低酸素血症が顕著で,換気刺激の増加や浅速呼吸による死腔換気率の増加により,換気量の増加反応が顕著であった.また心拍増加も強く,酸素脈も早期に頭打ちになり,下肢筋での乳酸産生が増す.さらに非活動による下肢筋量の減少や酸素利用能の低下による運動制限が示唆された.酸素吸入により,乳酸産生量の減少に見合った換気量の増加が抑制されるが,下肢筋量や機能の改善効果は期待されず,運動訓練を指導する余地が示唆された.

  • 宮川 哲夫
    原稿種別: シンポジウム
    2000 年 10 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー
  • 松尾 ミヨ子
    原稿種別: シンポジウム
    2000 年 10 巻 2 号 p. 194-198
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    吸気筋耐久力評価には,持続的吸気負荷漸増法が用いられるが,この測定法には,息苦しさ感などの不快感が伴い,被験者の吸気負荷への努力を阻む.不快感を減らすため,2分間ごとに漸増する吸気負荷と次の吸気負荷の間の1分間の休息期間を挿入する断続的吸気負荷漸増法を用いて吸気筋耐久力を測定し,持続的吸気負荷漸増法と比較した.結果は2つの方法は慢性閉塞性呼吸不全患者の吸気筋耐久力の測定に違いをもとらさないことを示した.

ランチョンセミナー1
  • 井上 洋西, 山内 広平, 小林 仁, 桜井 滋, 谷藤 幸夫, 伊藤 晴方, 黒田 晋, 加藤 さくら, 斎藤 小豊, 呉 徳男, 中舘 ...
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2000 年 10 巻 2 号 p. 199-201
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    急性呼吸不全においては,対症的療法とともに,根治的な療法がとられることが望ましい.前者としては,ステロイド剤の投与群が上げられるが,原因の異なる急性呼吸不全の対症療法については,いまだ一定の見解が得られておらず,施設や個人の経験や勘に頼っているのが現状である.今回は,第1に喘息の急性増悪時の高度の気道閉塞による換気障害,第2にインフルエンザウイルスによる気管支・肺胞障害,第3に酸吸入による気管支・肺胞障害を取り上げ,あるべき治療法につき検討し,以下の結論を得たので報告する.<br>1. 喘息が急性増悪時の急性呼吸不全の新しい治療<br> %PEFが40~50%台の入院治療を必要とする喘息発作の治療として,短期高用量プレドニン療法は従来の中用量プレドニン療法に比較してきわめて有用と考えられる.<br>2. インフルエンザによる急性呼吸不全の治療<br> インフルエンザ肺炎によりARDSを呈した急性呼吸不全の治療として,ステロイド療法は有用と考えられる.<br>3. Mendelson症候群における急性呼吸不全の治療<br> 胃液の逆流による急性呼吸不全(Mendelson syndrome)の治療として,臨床経験からも動物も出るにおける検討からも,ステロイド療法の有用性が認められた.

ランチョンセミナー2
  • 塩谷 隆信, 佐竹 將宏, 三浦 留美子, 小林 充, 田中 一徳, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 笠井 千景, 土橋 真由美, 清川 憲孝, ...
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2000 年 10 巻 2 号 p. 202-206
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル フリー

    近年,在宅呼吸リハビリテーションは,入院および外来リハビリテーションとほぼ同等の効果があり医療費も安いことが報告されている.在宅呼吸リハビリテーションでは,患者が,自分で住んでいる家庭の中で,在宅ケアの便宜をうける機会が与えられるという点で非常に有利であり,トレーニングの一定レベルを維持することができ,さらに,患者家族の参加から患者の運動訓練をより鼓舞することができる.このように,在宅呼吸リハビリテーションは,効果,健康関連QOL,医療経済効率の視点からみて理想的と考えられるが,その歴史がまだ浅いことから,適応疾患,組織と連携,費用対効果については,今後,比較対照試験による検討が必要である.

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