在宅酸素療法を施行している慢性呼吸不全症例においてPaCO2が予後に与える影響を調べた.1986年以降に当科にて導入され,1年以上の観察期間が得られた119例(肺気腫77例,結核後遺症42例)を対象とし,経年的なPaCO2の変化と予後の関係を検討した.導入時のPaCO2は予後に影響を与えなかったが,基礎疾患では結核後遺症のほうが生存期間が長かった.PaCO2が極端にばらついた症例(7例)を除外した112例を,経年的なPaCO2の変化(PaCO2勾配)の増加群(3 Torr/year以上)24例,不変群(0~3未満)50例,減少群(0未満~-12以下)38例の3群に分類して予後を検討した.その結果,不変群と比較して増加群,減少群のいずれも有意に予後が不良であった.