日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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シンポジウムⅢ
間質性肺炎の多面的評価
─運動能力,健康関連QoLおよび呼吸困難について─
西村 浩一
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2010 年 20 巻 1 号 p. 3-10

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抄録
間質性肺炎患者を対象とした運動負荷試験において,最も高頻度に認められる異常は,運動誘発性酸素飽和度低下である.これは,鋭敏で早期診断に有用かもしれないが,間質性肺疾患では運動能力の障害は類似しており,鑑別診断における役割は少ない.運動誘発性酸素飽和度低下および6分間歩行距離は,ともに有意な予後予測因子である.臨床試験におけるアウトカムの指標として,運動負荷試験におけるどの指標が適切であるかは不明であるが,呼吸リハに関する2つの研究は,6分間歩行距離の改善を報告している.また,SGRQやSF-36が,主な健康関連QoLの評価尺度として使用されており,健康関連QoLの障害には呼吸困難の関与が最も大きい.健康関連QoLおよび呼吸困難は,臨床試験の副次評価項目としての使用頻度が増えているが,一方では,予後予測因子としての文献的な報告はない.
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© 2010 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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