日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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ワークショップⅤ
吸入指導における地域の薬・薬連携の現状と課題
野見山 順子小坂 好男桂 秀樹
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2012 年 22 巻 1 号 p. 38-42

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抄録

近年医薬分業が進み,院外処方せんを地域の薬局が応需し,地域の保険調剤薬局の保険薬剤師による服薬指導が実施される機会が多くなってきている.このため,吸入指導が地域の保険調剤薬局で行われることが多いが,吸入指導の方法が薬局間で異なること,また薬局内でも指導方法が統一されていない場合もあること,指導に十分な時間がかけられていないことが明らかとなった.このように,医療機関と保険調剤薬局間で吸入手技が異なれば指導を受ける患者が混乱する可能性がある.この点を改善するためには,医療機関の薬剤師と保険調剤薬局との間で密接な連携(薬・薬連携)を行い,吸入指導の方法を統一し効率の良い吸入指導を行っていくことが重要である.筆者らは地域における吸入指導の統一と薬・薬連携を推進するために「八千代吸入療法研究会」を組織し活動を行ってきた.その結果,地域で統一した指導が可能になる,吸入療法の重要性,吸入手技の啓蒙が可能となる,地域のスタッフ間の交流が可能になるなどの効果が認められた.筆者らの取り組みから,患者により適正な吸入指導を行うためには医療機関と保険調剤薬局との間で密接な連携を行うネットワークを地域で形成し,継続した指導を行う体制を確立することが重要であると考えられた.今後各地域の実情に合致した吸入指導に関する「薬・薬連携」のシステム化が望まれる.

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© 2012 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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