日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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ランチョンセミナーⅣ
高齢者および慢性呼吸器疾患患者における23価肺炎球菌多糖体ワクチンのエビデンスと意義
─「元気な高齢社会」を支える─
西川 正憲
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2012 年 22 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV23)接種は,65歳以上のCOPD患者および65歳未満で対標準1秒量が40%未満のCOPD患者の肺炎の発生を低下させ,介護施設居住者の肺炎球菌性肺炎の発症を64%減少させ,肺炎球菌性肺炎による死亡率を低下させる.PPV23は,3価不活化インフルエンザワクチン(IV)との併用により,PPV23やIVの単独投与と比較して,寝たきり高齢者の肺炎による入院を半減させ,高齢者の肺炎医療費を抑制し,COPD患者の感染性増悪を減らし,外来通院する慢性疾患を有する高齢者の肺炎による入院を減少させ,高齢者の医療費削減につながる.わが国でのPPV23の認知度は米国に比して低い.PPV23の普及には,接種費用の公費助成とともに,日常診療における適切な病診連携の構築による医療者の啓発と患者教育が大切である.私たちが「元気な高齢社会」を享受するためには,IVとともにPPV23接種も積極的に推奨すべきと考えられる.

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© 2012 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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