日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
長期療養型病床群における脳血管障害患者の医療・介護関連肺炎発症に関する現状
松村 拓郎沖 侑大郎三谷 有司高橋 満藤本 由香里石川 朗
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2013 年 23 巻 3 号 p. 284-287

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抄録

【目的】長期療養型病床群での脳血管障害患者の医療・介護関連肺炎発症の実態について調査することを目的とした.【方法】長期療養型施設2施設に入所した脳血管障害患者54名(平均年齢83.9±10.1歳)を対象とした.対象者を入所期間中に肺炎を発症した肺炎群と発症しなかった非肺炎群の2群に分類し,入所時点での患者特性,入所期間中の死亡率を比較した.【結果】肺炎群は54名中12名(21.8%)で,12名すべてが嚥下障害をもつ75歳以上の後期高齢者であった.非肺炎群と比較して肺炎群は嚥下障害をもつ割合が高く(p<0.05),機能自立度評価表(FIM)スコアが低値であった(24.6±12.8 vs. 40.7±29.6, p<0.05).死亡率は肺炎群が有意に高値となった(HR:5.3, 95%CI:1.2-23.2, p<0.05).【結論】肺炎発症例の特徴から脳血管障害患者に発症する医療・介護関連肺炎の大部分が高齢者の誤嚥性肺炎であると推測された.また,この肺炎発症にいたる背景因子として嚥下障害の存在に加えてADL低下の影響が示唆された.

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© 2013 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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