抄録
気管支喘息の治療の中心である吸入ステロイドのデバイスには,主にディスカス製剤とタービュヘラー製剤と構造の異なる2種類がある.構造上の違いにより,それぞれの適切な吸気流速には違いがある.通常の吸入指導では,ディスカス群で5.6%,タービュヘラー群で77.7%が至適吸気流速に達していない.ディスカス群では,60歳以上あるいは治療ステップの重症度に比例して,吸気流速が低下する傾向にある.より吸気抵抗の高いタービュヘラー群でも同様の傾向が予想される.この結果を踏まえ,吸入ステロイドを初回導入する場合は,IN-CHECKTMなどの吸気流速測定器を用いて,適切な吸気流速の指導を行うことが重要である.また,現在喘息のコントロールが不良の場合,一度吸気流速を測定してみることも大切である.