日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
札幌健康フェア参加者における呼吸器症状と呼吸機能検査異常の関係
宮本 晴恵山本 雅史川口 朋香奥原 浩之中根 進児山崎 恭詩渋谷 斉重松 明男清水 力宮本 顕二
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2014 年 24 巻 3 号 p. 319-325

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抄録
札幌市内で開催された健康フェア参加者にスパイロメトリーを実施し,喫煙や労作時息切れ・咳嗽・喀痰といった呼吸器症状と閉塞性換気障害の出現率を検討した.解析対象は882名(62.2±13.5[SD]歳).喫煙率は男性69.7%,女性18.6%.
咳,痰,息切れ,喘鳴などの呼吸器症状が1つ以上あった場合を“呼吸器症状あり”,1つもない場合を“なし”とすると,喫煙群で1秒率70%未満の割合は,“呼吸器症状あり”の27.4%,“なし”の23.7%で,呼吸器症状の有無で有意差を認めなかった.非喫煙群についても,呼吸器症状の有無で1秒率70%未満の割合に差はなかった(“呼吸器症状あり”18.6%,“なし”15.4%).これらを便宜的にGOLDのCOPD病期分類に当てはめてみると,いずれもⅠ期かⅡ期相当であった.以上より,呼吸器症状の有無を問わず,軽度の閉塞性換気障害を呈する者が同程度存在する.そのため,COPD患者の早期発見のために,スパイロメトリーのより一層の普及が望まれる.
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© 2014 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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