抄録
札幌市内で開催された健康フェア参加者にスパイロメトリーを実施し,喫煙や労作時息切れ・咳嗽・喀痰といった呼吸器症状と閉塞性換気障害の出現率を検討した.解析対象は882名(62.2±13.5[SD]歳).喫煙率は男性69.7%,女性18.6%.
咳,痰,息切れ,喘鳴などの呼吸器症状が1つ以上あった場合を“呼吸器症状あり”,1つもない場合を“なし”とすると,喫煙群で1秒率70%未満の割合は,“呼吸器症状あり”の27.4%,“なし”の23.7%で,呼吸器症状の有無で有意差を認めなかった.非喫煙群についても,呼吸器症状の有無で1秒率70%未満の割合に差はなかった(“呼吸器症状あり”18.6%,“なし”15.4%).これらを便宜的にGOLDのCOPD病期分類に当てはめてみると,いずれもⅠ期かⅡ期相当であった.以上より,呼吸器症状の有無を問わず,軽度の閉塞性換気障害を呈する者が同程度存在する.そのため,COPD患者の早期発見のために,スパイロメトリーのより一層の普及が望まれる.