日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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総説
間質性肺炎および気腫合併肺線維症における呼吸リハビリテーションの現状と課題
杉野 圭史海老原 覚本間 栄
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2016 年 26 巻 2 号 p. 194-199

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抄録

間質性肺炎患者では,労作時の呼吸困難による身体活動性の低下がdeconditioningをもたらし,運動耐容能の低下,QOLの悪化,不安やうつ状態に繋がると考えられる.これら運動耐容能の低下,QOLの悪化,不安やうつ状態に対して,呼吸リハビリテーション(特に運動療法)による改善効果が期待できる.間質性肺炎患者を対象とした5つの無作為化比較試験のシステマティックレビューにより,呼吸リハビリテーションは運動耐容能(6分間歩行距離の延長)の中等度改善,呼吸困難およびQOLの弱いながらの改善が示されており,推奨されている1)

間質性肺炎(特に特発性肺線維症)および気腫合併肺線維症患者に対して,呼吸リハビリテーションを行うに当たり,呼吸器内科医は,豊富な経験と知識を有するリハビリテーション科医師および理学療法士の協力が必要であり,チームによる定期的なミーティングを行うことが重要である.さらに,患者選択基準や運動療法の頻度や強度など多面的な解析により,実施方法について詳細な検討を行い,重症度に合わせた最適な呼吸リハビリテーションプログラムを作成することも必要不可欠である.その結果,これらの患者に対して安全でより効果的な呼吸リハビリテーションを導入することが可能になると考える.

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© 2016 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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