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―患者様とともに歩むチーム医療―(長野県における試み)
江田 清一郎, 藤本 圭作, 花岡 正幸, 久保 惠嗣
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
205-212
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
【背景】在宅酸素療法(HOT)保険適用から30年が経過し,2014年,全国では16万人以上に普及した.
【方法】長野県でHOT普及に貢献した医療実践として12年間の推移,施行疾患,医療・訪問看護・介護課題,患者支援の実態を全県関連施設への郵送アンケート法で調査し,今後のHOTの展望を考察した.
【結果】地域医療の普及により2015年2月,県内のHOT施行者は5,279名(251名/10万人)と全国推定の127.7名/10万人より多かった.しかし,患者指導者不足,介護施設で施行が困難,災害時対策の不備などの課題があった.3)患者支援体制には,医療機関の呼吸ケアチーム・呼吸器看護外来の他,1.医療介護施設体系整備,2.患者会活動,3.地域ネットワーク形成,の形態があり身体活動性維持への全人的支援がなされていた.地域での患者中心のチーム医療の発展により,HOTは更に有用な呼吸療法へ発展する可能性がある.
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福家 聡, 斎藤 拓志, 小島 哲弥, 佐藤 寿高, 伊藤 健一郎, 西浦 洋一, 磯部 宏
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
213-218
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
COPDの管理において身体活動性が重要とされ,予後に影響するとの報告もある.一方で日常臨床において,簡便に身体活動性を評価する方法は限られている.身体活動性チェックシートは,活動可能な項目をチェックするのみで身体活動性を推測できる簡易な質問票である.今回我々は身体活動性シートとCATスコア,呼吸機能,修正MRCとの関連を検討し,日常臨床での指標になり得るか否かを検討した.その結果,身体活動性シートはCATとは弱い負の,1秒量,最大吸気量とは弱い正の相関を示した.CATが10点以下の群においても,身体活動性シートでは活動性が低下している症例も認めた.また,身体活動性中強度可能群では,高強度可能群と比較して,有意に呼吸機能の低値やCATスコア高値を認めた.以上より,身体活動性シートは日常臨床での有用性が期待され,さらにCATではとらえきれない活動性低下を簡便に推測できる可能性があると考えられた.
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二宮 依里奈, 斎藤 拓志, 村下 留美, 辰己 佳子, 堀 龍太, 土田 幸弘, 福家 聡
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
219-224
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
フローリミテーション(FL)で圧上昇する機能(IFLon)を備えたオートCPAPで治療してもFLは残存する.患者によっては鋸歯状に圧が上昇し不快感や中途覚醒の原因になる.そこで残存するFLが,治療すべき上気道抵抗なのか否かを検討した.オートCPAP中に残存するFL発生はarousalと無関係で深睡眠を妨げないことがPSGで確認でき,熟睡感も得られた.また鋸歯状の圧上昇は18%の患者で発生し,FLで圧上昇しない設定(IFLoff)にすると圧が下がって快適になり,しかし無呼吸低呼吸は悪化せず,FLはむしろ有意に減少した.ただしIFLoffでは低呼吸とarousalが残存し,設定再変更が必要であることがPSGで判明した患者が少数いた.本CPAP使用下のFL波形残存は上気道抵抗を意味せず,IFLonであれば残存FLは治療を要しない.鋸歯状の圧上昇を認めた場合,IFLoffにした上でPSGで確認すべきである.
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二宮 依里奈, 斎藤 拓志, 辰己 佳子, 村下 留美, 堀 龍太, 土田 幸弘, 福家 聡
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
225-232
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
OSAS治療におけるオートCPAPの信頼性の限界を検証した.93人全体ではオートCPAPの呼吸イベント検出能はPSG判定と良い相関(r=0.85)があるが,39%を占めるオートCPAP判定AHI≧5の患者の44%でPSG判定AHIが10/h以上あり,呼吸イベント(低呼吸)見落としは3.5%あった.エアリークや口呼吸・嚥下・深呼吸・げっぷ等が誤認の原因となり得た.CC+TM等の圧緩和機能で中枢型イベントが悪化した.以上の経験から設定した最適条件での63人の治療効果を過去の固定圧CPAP患者93人と比較すると,オート平均圧 6.9±0.3 cmH2Oは固定圧の 10.0±0.2 cmH2Oより有意に低かったが,AHIは 5.0±0.6/h対2.6±0.3/hで有意に悪かった.しかしその差はわずかであり開口等の管理が出来れば今回使用したオートCPAPの信頼性は高いが,一定条件では見落としを防ぐためにPSGでの確認を要する.
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―LINQを用いて―
山本 羊子, 大村 忠行, 澤村 千佳子, 中嶋 宏, 杉山 幸子, 土井 恵美, 木村 相泰, 阿部 哲也
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
233-237
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
【背景と目的】Lung Information Needs Questionnaire(LINQ)は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者が持つべき情報の必要性と十分性の乖離を明らかにする評価ツールである.また,患者自身が必要とする情報に焦点を合わせた教育により,そのセルフケアマネジメント能力は向上する.そこで6施設においてLINQによるアンケート調査を行うと共に,各施設における特徴を明らかにすることにより,患者教育及び指導をする際に重要となる因子について検討した.
【対象と方法】6施設それぞれよりCOPD患者を20名ずつ無作為に抽出し,LINQの6項目について評価,検討した.
【結果及び結語】COPD患者のセルフマネジメントにおいて必要とされる情報のうち,各施設に共通して「栄養」,「自己管理」についての情報量が不足していた,これらの項目についてはCOPD患者一般に不足する情報と考えられ,効果的な指導を実施するために,重点的な検討が必要であることが示唆された.
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田中 孝美, 西片 久美子, 竹川 幸惠, 東 雅之, 小林 千穂, 寺尾 多恵子, 永利 公児, 能見 真紀子
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
238-245
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
【目的】軽症・中等症COPD患者に対する看護外来における継続支援プログラムを開発し,プロトコル案に基づく支援を行い,その有効性を評価すること.
【研究方法】対照群のないパイロットスタディ.2014年5月~2015年5月に,看護師6名の協力を得て,軽症・中等症COPD患者19名に対してプロトコル案に基づく療養支援を実施した.主たる指標は健康関連QOL尺度のSGRQ Ver. 2日本語版を用いた.データ収集は,ベースラインから4か月毎に最長12か月迄の支援実施後に,連結可能匿名化した自記式質問紙調査を行った.
【結果】SGRQの総スコアと3つの構成領域スコアに関して,初回,4か月,8か月の平均値に差があるかを,反復のある一元配置の分散分析で検討したところ,Symptomsに5%水準で有意差が認められた.さらに多重比較を行った結果,Symptomsのベースラインと8か月で有意差がみられ,症状は有意に改善していた.総スコア,Activity,Impactでは有意差を認めなかった.
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宮崎 慎二郎, 宮川 哲夫, 高橋 仁美, 片岡 弘明, 石川 淳, 北山 奈緒美, 林野 収成, 市川 裕久, 荒川 裕佳子, 森 由弘
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
246-251
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
入院を要するCOPD急性増悪のリスク因子を明らかにすることを目的に,COPD患者92例を対象として後方視的に検討した.各項目を2群に分類した単変量解析では,年齢,BMI,%肺活量,%1秒量,ISWT歩行距離,mMRC,CRP,CATにおいて有意差を認めた.さらに,これらの項目を独立変数,急性増悪による入院までの期間を従属変数としたCox比例ハザードモデルによる多変量解析した結果,BMI 21.3 kg/m2未満(HR 6.26,95%CI 1.81-21.71),ISWT歩行距離 360 m未満(HR 5.27,95%CI 1.56-17.83),CAT 15点以上(HR 4.99,95%CI 1.28-19.4)が,有意な因子として抽出された.低体重,歩行距離の短縮,強い自覚症状は,入院を要するCOPD急性増悪の危険因子になりうることが示唆された.
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岩波 裕治, 五十嵐 愛, 内 昌之, 杉野 圭史, 本間 栄, 海老原 覚
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
252-257
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
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不安を含む心理状態は日常の身体活動に影響を及ぼすが,間質性肺炎(IP)患者における不安感は,何により影響を受け,他にどのように関連するかは,必ずしも明らかでない。そこで,IP患者が抱く不安感と身体機能面および健康関連QOLとの関連性に関して検討した。外来でのリハビリテーションを実施したIP患者31名(平均年齢:74.8歳,FEV1/FVC: 98.4%,%VC: 68.4%)を対象とした。リハ初期評価時に,State Trait Anxiety Inventory Form(STAI)により状態不安と特性不安を測定した.また,年齢,重症度,mMRC,肺機能(%FEV1,%VC,FEV1/FVC),血液ガス(PaO2),膝関節伸展筋力,握力,6MD,健康関連QOL(SGRQ)を測定し,不安との関連性を調査した.その結果,状態不安,特性不安は両者とも,SGRQ(symptoms,impacts,total)と有意な相関を認めたが,他の因子との相関は認められなかった。IP患者の不安感はどこから来るかは明らかにされなかったが,健康関連QOLと関連を有することが示唆された.
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―吸気筋力の向上は運動耐容能に影響するか―
大倉 和貴, 川越 厚良, 柴田 和幸, 岩倉 正浩, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 柏倉 剛, 本間 光信, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
258-263
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)において低強度運動療法に追加併用して実施した,呼吸回数を指定した吸気筋トレーニング(IMT)の効果を明らかにすること.
【方法】安定期COPD患者20名を対象とした.対象患者には,呼吸回数を30回に指定したIMTを3ヶ月間実施した.介入前後に最大吸気口腔内圧(PImax),大腿四頭筋筋力(QF),6分間歩行距離(6MWD),6分間歩行試験後の呼吸困難と下肢疲労感を測定し,IMTによるPImaxの増加および運動耐容能に及ぼす効果を検討した.
【結果】IMT施行後に,PImax,QF,6MWDは有意に改善した.また,6MWDとPImaxおよび呼吸困難の各変化量には有意な正の相関関係がみられた.
【結論】呼吸回数を指定したIMTの追加併用によりPImaxは有意に増加し,PImaxと呼吸困難の改善が大きいほど6MWDの増加量も大きくなる可能性が示唆された.
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植田 香織, 崎尾 百合子, 浦口 富恵, 山本 佳奈, 平山 麻里子, 加藤 聡之
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
264-266
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
在宅酸素療法(HOT)患者が慢性呼吸不全急性増悪等で再入院となった時は,再指導を行う良い機会であると考える.そこで,再入院時に病棟看護師が自己管理状況情報収集シートを作成し,これを用いて日常生活の詳細と課題を見定めた患者再教育を行った.その,1事例を通して,家族・介護環境の実情に合わせた具体的対応を提案できた.自己管理状況情報収集シートにより課題が明確となり,多職種と連携した再指導の取り組みは意義があるものであった.再入院時という機会をとらえた,再指導の取り組みは患者の生活に合わせ,再入院を予防するための指導が可能となるという点で有意義なものであると考える.
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礪波 利圭, 長谷川 智子, 上原 佳子, 北野 華奈恵, 出村 佳美, 淺川 久美子, 石﨑 武志
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
267-272
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
本研究は,医療従事者および非医療従事者のCOPDについての知識と健康習慣の現状,および主観的健康統制感を明らかにすることを目的とし,自記式質問紙調査を実施した.本研究の結果より,医療従事者自身が「COPDの知識がある」と回答していても,COPDについて十分に理解できていないことが明らかとなった.また非医療従事者ではCOPDの疾患そのものが認知されていないことが明らかとなった.加えて,健康的な生活習慣を営んでいる対象者は,COPDに対しての関心が高い傾向があることが明らかとなった.
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今村 祐一朗, 小嶋 圭介, 廣佐古 進, 平田 圭, 東 美保子, 柿本 裕貴, 岡林 比呂子, 濱田 昌平, 渡邉 玲子, 興梠 博次
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
273-276
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
慢性呼吸器疾患患者の排泄行動時の,酸素飽和度,息切れの程度の変化を検討した研究は少ない.本研究の目的は,排泄中の低酸素血症を客観的に評価することである.2015年2月から9月の期間に当診療科に入院した慢性呼吸器疾患患者15名に対して24時間 SpO2モニタリングを行い,排尿・排便中のSpO2値低下の程度を分析した.対象患者の平均年齢は61.2歳,男性9名,女性6名であり,基礎疾患は間質性肺炎 10名,慢性閉塞性肺疾患(COPD)2名,リンパ脈管筋腫症1名,また,肺切除術後患者が2名であった。SpO2値が90%未満となった患者割合は,排尿時 66.7%,排便時 71.4%であった.6分間歩行試験が行われていた7名の患者において,排泄時のSpO2値低下の程度は歩行時と同程度であった。排尿・排便時に歩行時以上のSpO2値低下を認める場合もあった.今後,排泄中の酸素吸入量の再設定や呼吸法の指導が必要である.
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三谷 真由美, 田中 真紀, 北条 達郎, 奥條 朝子, 井上 卓哉, 中村 洋之, 岡田 節雄
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
277-280
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
2008年度の診療報酬改定により,呼吸器疾患患者に作業療法が実施できるようになり,当院でも2012年より呼吸不全患者に対し理学療法(Physical Therapy; PT)に追加し作業療法 (Occupational Therapy; OT)介入を開始した.在宅肺気腫用ADL評価用紙(pulmonary emphysema-ADL; P-ADL)の平均スコアは,入院時から退院時にかけて改善し,退院3ヶ月後もP-ADLスコアおよび6MWTの維持ができていた.退院後,P-ADLスコア平均は維持できていたものの,在宅において,入院時の介入は一部で退院後維持できず,息切れのスコアが悪化していた.息切れスコアが悪化した要因は,行動変容の難しさ,セルフケアが自立しており介護認定が取れないなどの理由で,十分なサービスを受けられないこと,改善できない居住環境,独居や高齢者夫婦など家族構成の問題や,トレーニング内容が居住環境に適合できないことが考えられ,環境改善が困難であるCOPD患者とOTのかかわりの根幹として,時間をかけて習慣化するまで促していく配慮が重要である.
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竹澤 実, 三浦 元彦, 原田 卓
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
281-284
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
在宅酸素療法(HOT)施行中のCOPD患者における手段的日常生活活動(instrumental activities of daily living: IADL)の特徴を明らかにする目的で,HOT群・非HOT群のFrenchay Activities Index(FAI),身体機能について比較検討を行った.対象は在宅男性COPD患者26症例(HOT群12名,非HOT群14名)であった.その結果,HOT群のFAIは有意に低値,MRCは高値,6分間歩行距離は低値であった.HOT群のFAIはMRC・BODE Indexと相関し,一方,非HOT群のFAIは膝伸展筋力・%肺活量と相関した.活動間の比較では,HOT群は買い物・外出・交通手段の利用・家や車の手入れ・庭仕事・力仕事が低下傾向であった.
在宅酸素療法COPD患者のIADLは低下しており,屋外活動,労作の強い活動で低下傾向であった.そして,息切れがIADL低下の要因であった.
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阿部 なつみ, 宮本 恵子, 両角 和恵, 千葉 史, 髙橋 純子, 小林 誠一, 矢内 勝
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
285-290
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
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石巻地域COPDネットワーク(以下ICON)では,COPD増悪の予防と早期対応を目的とした患者教育を行っている.ICON導入による1)COPD増悪予防効果,2)増悪に影響する因子に関して検討した.
方法:ICON登録患者の363名を対象とし,ICON導入前後1年間の増悪回数と増悪に関連する因子(対象と方法を参照)を後方視的に調査した.増悪回数は,全増悪・外来治療を要した増悪・入院治療を要した増悪に分類し比較した.
結果:外来治療を要する増悪は増加したが,入院治療を要する増悪は減少した.患者の疾患・薬剤・喫煙に関する知識量と,BMIが増悪に関連した因子だった.
考察:ICONのアクションプランでは,増悪時の早期受診を指導している.この結果,外来治療を要する増悪は増加したが,入院治療を要するような重症増悪は抑制できたと考えられる.また,ICON教育プログラムにより疾患理解などセルフケア能力を高める事が,重症増悪の減少に有用である可能性が示唆された.
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原 千陽, 佐藤 英夫, 村松 周子, 淺田 美咲, 伊部 亜紀子, 水澤 満智代, 山口美沙子
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 2 号 p.
291-296
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
【背景と目的】慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)は全身の併存症による病態の悪化にも注意が必要であるが,さらに不安や抑うつを高率に合併することが指摘されている.そこで,Patient Health Questionnaire-9(以下PHQ-9)を用いてうつ病性障害の合併に関して検討した.
【対象と方法】定期通院している88例の患者を対象として,COPDアセスメントテスト(以下CAT)とPHQ-9を実施した.
【結果】27例,30.6%にうつ病性障害の合併が疑われた.26例はCATスコア10以上のグループであった.うつ病性障害合併群は有意にCATスコアが高く,より増悪頻度が多かった(ハイリスク).睡眠薬の服用頻度はうつ病性障害合併群で50%あった.呼吸リハビリテーションと抗うつ薬の処方により呼吸困難の軽減が得られた症例を経験した.
【結語】CATスコアが高値である場合,COPDの病態悪化以外にうつ病性障害の合併も念頭に入れる必要がある.呼吸リハビリテーションや薬物療法の他に,患者とのコミュニケーション機会の増加や訪問看護等の活用も,不安や抑うつの軽減に寄与すると考えた.
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淺川 久美子, 長谷川 智子, 石﨑 武志
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
297-300
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
慢性呼吸器疾患看護認定看護師教育の目的は,安定期・増悪期・終末期における慢性呼吸器疾患患者とその家族のQOL向上に向けて,水準の高い看護を実践する能力を育成すること,慢性呼吸器疾患看護分野における看護実践を通して他の看護職者に対して,指導・相談ができる能力を育成することである.
慢性呼吸器疾患看護認定看護師(CNCR)活動の調査では,「学習会」等の教育活動が多い一方,「自己決定を尊重した看護の検討と実践」「ケースの倫理的問題についてのカンファレンス開催」が低い結果であった.認定看護師教育課程の限られた教育期間中に倫理的課題への意識が高まるよう,事例検討等,自らの実践と倫理的課題を結びつけられるような教育を実施していきたい.また,CNCRの活動の本質的な成果として,「慢性呼吸器疾患患者の入院期間の短縮」や「急性増悪患者数や再入院回数の減少」などQI(Quality Indicator)による貢献度の明確化が望まれる.CNCRによる介入で得られたアウトカムの明確化には,教育機関として支援していきたい.
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北川 知佳, 角野 直, 城石 涼太, 小栁 春美, 山下 はるか, 出川 聡, 力富 直人, 神津 玲
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
301-305
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
当院は呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハビリ)専門施設として開院し,18年が経過した.呼吸リハビリの対象患者は,長崎県内外の医療機関からの紹介患者が多く,紹介元からは診療情報提供書,当院からは呼吸リハビリ経過報告書を作成し情報交換を行っている.当院で呼吸リハビリ導入後継続している患者は約6割で,そのほとんどが外来で通院できる地域の患者である一方,呼吸リハビリが必要な患者の約4割が継続できていなかった.その一因として本県内外において呼吸リハビリが継続可能な施設の絶対数が少ない現状がある.また医療関係者や患者の呼吸リハビリへの認識の低さ,更に利用できる施設の情報が不足しており,呼吸ケア・リハビリテーション学会における広報活動のさらなる活性化等の検討が必要と思われる.
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塩見 基, 山本 晃市, 宮崎 慎二郎, 広瀬 絵美子, 市川 裕久, 荒川 裕佳子, 森 由弘
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
306-312
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
当院の「呼吸ケアサポートチーム(RST)」は2001年4月に設立された.人工呼吸の安全管理に関して,設立当初より臨床工学技士(CE)が主として担当し,日本呼吸療法医学会より発表された「人工呼吸器安全使用のための指針」を参考に,人工呼吸安全管理体制を見直し,さまざまな取り組みを行ってきた.RSTが中心となり「人工呼吸器ラウンド」,「院内NPPVインストラクタ―活動」,「院内A級ライセンス制度」などを立ち上げ,人工呼吸の安全性の向上を目指した.人工呼吸の安全管理において,単独部署の取り組みだけでは十分な成果をあげることができない.また,多職種が集まって会合を行うだけでは成果をあげることは難しい.各職種が様々な介入を行い,各職種がお互いの意見を受け入れ,相互理解を深めることができる環境が必要である.これを長期に継続させることにより,院内全体の呼吸療法スキルのボトムアップが図られ,人工呼吸の安全性が向上すると考える.
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―自施設内での新規立ち上げと他施設との交流―
加藤 聡之, 武田 直也, 岡 圭輔, 柴田 寛史, 酒井 元生, 河野 純子, 崎尾 百合子
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
313-317
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
フライングディスク(FD)は,技術獲得が容易で,競技中の移動も不要であり,運動強度も低いため,在宅酸素療法(HOT)導入中の患者にも適した運動であると言われている.また,レクリエーションの側面も合わせ持つので,楽しみながら継続でき,HOT患者の運動療法のモチベーションを維持する効果も期待し得る.今後FDが広く全国に周知され,HOT患者に広まって行くことが期待される.実際にFDの練習会を新規に立ち上げるに際しては,練習会場とスタッフの確保,資材の調達,安全対策,練習会の内容メニュー策定など様々な対応が必要となる.これらの中にはイメージだけで対処できるものもあるが,実際に開催してみないと気付かないことも多々ある.可能であれば,立ち上げ前には実施施設の練習会を見学しておくことが望ましいが,実際には難しいことも多い.現在,新たに練習会の立ち上げにも対応可能なFD練習会のマニュアルの作成が進められている.
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齋藤 修平, 白木 晶, 安藤 守秀
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
318-319
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
現在,医療・看護は病院中心型医療より地域医療へと移行してきている.基幹病院として急性期から慢性期,退院後の質の高い呼吸ケアを行うためにも,院内全体の呼吸ケアスタッフの育成を行っていく必要がある.また,退院後の呼吸ケアの継続が重要であり,慢性呼吸器疾患看護認定看護師(CNCRN)として,院内での横断的活動の実践だけでなく,院外にも目を向けた教育も重要な役割である.また,慢性呼吸器疾患看護認定看護師は,院内だけでなく,地域・在宅においてもコーディネーターとしての役割が期待される.
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山本 ともみ, 遠藤 正裕
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
320-322
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
フリー
パーキンソン病(PD)は神経難病の一つで,死因は一般人口と異なり肺炎であるが,咳嗽能力の経年変化に関する報告はみられない.そこで,咳嗽能力の指標であるCough Peak Flow(CPF)の経年変化に影響を与える要因について調べ,間接的なリハビリテーションの可能性を検討した.
対象は,PD患者148名,平均年齢72.1±7.7歳とした.CPFが160[L/分]以下となるまでの期間を被説明変数,スパイロメトリ,口腔内圧,UPDRS,基本動作,ADLを説明変数として,Log Rank検定とCOX回帰分析を行った.
結果は,高齢発症であることと閉塞性換気障害を有すること,協調運動障害が重篤であることがCPFの低下に影響した.
咳嗽時に呼吸補助筋が協調的に収縮しないことにより,有効な咳嗽が起こらないと考えられるため,早期から体幹と呼吸の運動を同調させるような運動療法を行うことが重要と考える.
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近藤 圭介, 福田 健介, 酒寄 雅史, 園田 唯, 粟野 暢康, 小野 竜, 守屋 敦子, 西村 基記, 寺尾 多恵子, 堀内 勇人, 齋 ...
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
323-325
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
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当院において間質性肺炎の急性増悪に対して,polymyxin-B immobilized column direct hemoperfusion(以下PMX-DHP)および炎症性メディエーターの除去を目的としたpolymethylmethacrylate膜(以下,PMMA膜)を用いた血液浄化療法(以下PMMA-CHDF)を同時に行った症例を後方視的に検討した.30日,90日生存率などは近年の本邦の報告とも遜色のない結果が得られたが,血液浄化療法の施行中は人工呼吸管理などに加え,出血症状や回路の閉塞などの問題点に関して医師のみならず看護師,臨床工学技士など多職種間の連携を必要とした.PMX-DHP,PMMA-CHDFを用いた集学的治療には,医療安全の観点からも多職種連携が必要である.
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下田 優作, 横山 朋大, 石川 朗
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
326-331
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
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非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation: NPPV)によるマスク装着時において,顔面の痛み,発赤,潰瘍,褥瘡などの皮膚障害を起こす原因の1つにマスクによる外力が挙げられる.我々は,被覆保護材の種類を選択することで皮膚組織に加わる剪断力を軽減し,皮膚障害の発生を減少させられると考えた.そこで5種類の創傷被覆保護材と1種類のマスク用鼻パッドを対象に,NPPVマスク素材との測定摩擦力から摩擦係数を算出し,その他の特徴と合わせて比較検討した.なお,実験装置はJIS K7125(プラスチック-フィルム及びシート-摩擦係数試験方法)を参考に摩擦力の測定を行った.
創傷被覆保護材の種類によってマスク素材との摩擦係数に差が認められ,その選択が皮膚障害発生に関係する可能性が示唆された.より皮膚障害の発生を減らすためには摩擦係数の低い創傷被覆保護材の選択が重要であると考えた.
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堀越 一孝, 渡邊 宏樹, 阿萬 由香, 大江 元樹
原稿種別: 症例報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
332-335
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
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急性呼吸不全時の人工呼吸器管理において,人工呼吸器離脱時の排痰補助装置(Mechanical Insufflation-Exsufflation: MI-E)の使用に関する報告は少ない.今回,抜管リスク分類の再挿管危険因子が高リスク群に該当する症例に対して,カフリークテスト前後及び抜管後にMI-Eを使用することで,安全に抜管することが可能になった一例を経験した.離脱時のMI-E使用の必要性と有効性に関して文献的考察も合わせ報告する.
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増本 枝里子, 山下 剛司, 田中 博之
原稿種別: 症例報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
336-340
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
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82歳女性.第一腰椎圧迫骨折受傷後,入院した.その後,タール便を認め他院へ転院した.転院先で胃潰瘍止血後,著明な低酸素血症,CO2ナルコーシスを呈した.肺胞低換気の存在が示唆され,非侵襲的陽圧換気を実施した.第38病日に当院へ転院(再入院)し,前医で実施されなかった呼吸リハビリテーションを開始した.第42病日から車椅子乗車,第48病日から歩行が可能となり,第56病日頃から呼吸苦が減じて酸素投与が不要となり,日常生活動作も自立したため,第80病日に自宅へ退院となった.本症例の呼吸リハビリテーションは肺活量増加を主眼にすべきと考え,セミファーラー位を維持して安楽体位に置くこと(リラクゼーション)から開始したが,自己排痰が得られるようになってから呼吸リハビリテーションが進んだ印象を持った.肺活量を増すことと気道の清浄化の2つが補完しあって,より良い効果が得られたと考えられた.
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小椋 遼治, 毛利 奨吾, 杉澤 樹, 内 昌之, 玉置 一智, 与田 仁志, 海老原 覚
原稿種別: 症例報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
341-344
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
ジャーナル
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新生児を対象とする理学療法では,発達を促すためにポジショニングが行われているが,呼吸機能に着目した報告は少ない.そこで,退院後の肺炎予防を含めた視点から,呼吸指導を家族に対して実施しえた一例を経験したので報告する.症例は常位胎盤早期剥離により帝王切開で33週2日目に出産された重症新生児仮死の児.Apgarスコアは1分値1点,5分値1点.嚥下機能障害を認め唾液の嚥下は不可能,持続吸引を要していた.頸部・体幹の伸筋群に筋緊張の亢進が認められた.リハビリテーション介入の過程で,ご家族に児の写真とポジショニングの留意点を記載したパンフレットと,誤嚥性肺炎に対する対策資料を作成し,身体機能と疾患に対する知識の提供を行った.さらに,両親への介入効果に関して,病棟看護師と連携して,ケアの理解が促されているかどうかを確認することで,理学療法士も退院後の生活を安定して行う一助になりうることが示唆された.
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中村 康一, 板倉 潮人, 髙木 聡, 小林 和陽, 齋藤 浩子, 月岡 悦子, 山口 貴子, 野口 周作, 加藤 和久, 臼杵 二郎
原稿種別: 症例報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
345-348
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
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栄養失調とサルコペニアを伴う高齢者に対し,運動療法と栄養療法によるマネジメントの必要性が言われている.66歳男性,肺腺癌のため右肺全摘出後,外来通院していた.混合性換気障害と呼吸器症状が進行し,体重減少および身体活動性の低下を認めるようになったが入院を拒否.サルコペニアが疑われ外来で栄養士と看護師が介入し,栄養状態は改善した.しかし自覚症状は改善せず,理学療法士が介入を開始した.4ヶ月間の介入によりAMC(19.9→20.9 cm),MIP(31→68 cmH2O),握力(20→22 kg),CAT(12→9点)と筋力およびCATの改善を認めた.今回,入院が困難なCOPD症例に対し,外来で多職種が介入することで全身状態を改善させ,入院を回避することができた.栄養失調を伴うサルコペニアが疑われるCOPDに対する,外来における栄養および運動療法の有用性が示された一例と考えられる.
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道脇 理嘉, 堀 竜次, 矢田 定明, 中村 孝人, 百武 威, 澤端 章好
原稿種別: 症例報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
349-352
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
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原発性気管腫瘍に対して気管管状切除術を施行された症例に対する呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)を,運動療法以外の観点から行った.術後喉頭機能障害のため嚥下障害を認めたが,誤嚥性肺炎を予防することを目的に,実際の食事場面での嚥下評価,嚥下指導を行い,頸部のコンディショニング・浮腫に対するアプローチ(以下,浮腫療法)を施行した.さらに,術後の喀痰喀出,咳嗽に対する理学療法(以下,PT)介入を行った.運動療法以外の術後機能回復に向けたPT介入により,大きな合併症を起こさず,円滑に日常生活に復帰することができた.
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下西 德, 嶋崎 勇介, 堀 竜次, 中村 孝人
原稿種別: 症例報告
2016 年 26 巻 2 号 p.
353-355
発行日: 2016/08/31
公開日: 2016/09/15
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呼吸器疾患患者における排便時の呼吸困難の対応として,呼吸法指導,環境設定,食事摂取方法指導,薬物療法等がある.しかし,呼吸器疾患患者における排便時の呼吸困難,酸素分圧の低下に関与する要因の分析や,それらを考慮した姿勢・動作指導法はまだ確立していない.われわれは,排便時にパニック状態に陥った慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease; COPD)患者に対し,排便時のパニックコントロールの緩和を目的に作業療法介入を行った.酸素流量調整に加えて,排便時の姿勢・動作方法を工夫することで,パニック状態に陥ることなく排便が可能になった症例を経験した.
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