日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
原著
慢性閉塞性肺疾患患者における作業療法の役割
三谷 真由美田中 真紀北条 達郎奥條 朝子井上 卓哉中村 洋之岡田 節雄
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2016 年 26 巻 2 号 p. 277-280

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抄録

2008年度の診療報酬改定により,呼吸器疾患患者に作業療法が実施できるようになり,当院でも2012年より呼吸不全患者に対し理学療法(Physical Therapy; PT)に追加し作業療法 (Occupational Therapy; OT)介入を開始した.在宅肺気腫用ADL評価用紙(pulmonary emphysema-ADL; P-ADL)の平均スコアは,入院時から退院時にかけて改善し,退院3ヶ月後もP-ADLスコアおよび6MWTの維持ができていた.退院後,P-ADLスコア平均は維持できていたものの,在宅において,入院時の介入は一部で退院後維持できず,息切れのスコアが悪化していた.息切れスコアが悪化した要因は,行動変容の難しさ,セルフケアが自立しており介護認定が取れないなどの理由で,十分なサービスを受けられないこと,改善できない居住環境,独居や高齢者夫婦など家族構成の問題や,トレーニング内容が居住環境に適合できないことが考えられ,環境改善が困難であるCOPD患者とOTのかかわりの根幹として,時間をかけて習慣化するまで促していく配慮が重要である.

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© 2016 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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