日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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総説
急性呼吸不全を理解する(4)呼吸ケア・リハビリテーション
石川 朗沖 侑大郎藤本 由香里
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2017 年 26 巻 3 号 p. 438-445

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抄録

COPDの急性増悪を想定した症例で,呼吸ケア・リハビリテーションの一連の流れを解説する.症例は,COPDを原疾患とし,慢性的な誤嚥の繰り返しから誤嚥性肺炎重症化のARDSである.ICU滞在中の筋力低下(ICU-AW),無気肺,排痰障害,せん妄,酸素化不良が混在している.ICUにおける呼吸ケア・リハビリテーションは,呼吸器合併症とICU-AWの予防が主となり,Early mobilizationとしてコンディショニング,体位管理,排痰,離床などを実践する.より早期に介入した方が効果は高い.ICUより一般病棟へ転棟後は,コンディショニング,6分間歩行試験などによる運動耐容能評価,ADL評価,筋力および運動耐容能改善を目的とした運動療法,栄養指導,身体活動量向上に向けての指導,在宅に向けたサービス再検討を実施する.特に運動療法は,運動能力の増大,自覚的呼吸困難間の軽減,健康関連QOLの向上,うつ気分や不安の軽減,増悪による入院後の回復促進に関し,エビデンスが確立されている.

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© 2017 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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