2017 年 26 巻 3 号 p. 491-494
【背景】COPDや気管支喘息の吸入新薬は投与日数の制限があり,総合病院への頻回な通院が負担となり継続できないことがある.
【目的】総合病院において吸入新薬を継続できない患者背景を明らかにする.
【方法】2013年11月から2015年10月に当科で,1回14日分の投与制限のある吸入新薬を投与されたCOPDまたは気管支喘息患者を対象とした.診療録を用いて患者背景を評価した.ROC曲線を用いて居住区への距離のカットオフ値を解析した.吸入新薬の継続可否を目的変数とし,患者背景を説明変数として重回帰分析を行った.
【結果】全33例を解析し,継続可能は61.7%であった.吸入新薬を継続できない患者背景は,ROC曲線では居住区から当院までの距離が 7.9 km以上であり,重回帰分析では,かかりつけ内科なし,居住区から当院までの距離が 7.9 km以上であった.(Adjusted R2=0.36, F(9, 23)=3.01, P=0.02).
【結語】吸入新薬を継続できないリスクは社会的要因が大きく,近医との地域連携が一つの解決策と考えられた.