2017 年 26 巻 3 号 p. 485-490
特発性間質性肺炎(IIPs)患者14名に6分間歩行試験(6MWT)を行い,運動前後における心拍数および経皮的酸素飽和度(SpO2)の変化を測定し,これらと身体的,精神的機能との関連を検討した.6MWT中のSpO2 低下は著明で(平均84.3%),運動後の回復には心拍数と比較し時間を要した(回復時間:SpO2 3分,心拍2分).運動中の心拍数上昇(CRI; chronotropic response index)は運動後の心拍数回復(HRR; heart rate recovery)と正の相関を(r=0.683, p=0.007),SpO2 の運動後の回復とは負の相関(r=-0.589, p=0.027)を認めた.心拍数変化やSpO2 の変化と他の項目とは関連がなかった.IIPsは運動中に著明な低酸素血症を呈し,運動後のSpO2 回復は心拍数より遅延する.そのため,酸素投与を含めた対策が必要である.