2018 年 27 巻 2 号 p. 210-214
肺切除術後における6分間歩行距離回復率を高齢群(75歳以上)と非高齢群(75歳未満)に分け,違いがあるかを検討した.対象は肺切除術施行患者96名(高齢群22名:平均年齢79.3±3.2歳,非高齢群74名:平均年齢62.6±9.6歳)であった.入院診療録より患者背景(年齢・性別・PS・入院前ADLなど),手術記録より術式・手術時間・麻酔時間を調査した.呼吸機能は1秒量・肺活量・Incentive spirometoryによる術前最大吸気量を測定した.運動耐容能は術前後の6分間歩行距離を測定し,術後6分間歩行距離を術前6分間歩行距離で徐した値を6分間歩行距離回復率とした.術前呼吸機能・6分間歩行距離において高齢群で有意に低値を示したが,6分間歩行距離回復率においては有意差を認めなかった.術前呼吸機能や6分間歩行距離が有意に低値を示した高齢群においても,非高齢者と同様に,積極的なリハビリテーション介入により術後運動耐容能低下を予防できることが示唆された.