日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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特別講演
我が国の高齢者終末期医療の現状と課題
―個人的提言―
宮本 顕二宮本 礼子
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2018 年 27 巻 3 号 p. 252-256

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抄録

高齢者が穏やかに人生を終えたいと望むのは当然です.しかし現在の日本の医療はそれに応えていません.わが国では高齢者が終末期に食べなくなると,当たり前のように点滴や経管栄養が行われます.そのため,何もわからない寝たきりの状態で,何年間も生き続ける高齢者がたくさんいます.一方,我々が訪れた欧米豪では,高齢者が終末期に食べなくなると点滴や経管栄養を行ないません.食べるだけ飲めるだけで看取ります.何も口にしなくなってから,2週間ほどで穏やかな最期を迎えています.日本のような延命医療は老人虐待とさえ言われます.我が国の高齢者終末期医療には,1)尊厳:人として死ぬ 2)緩和:穏やかに最期を迎える 3)倫理:自分が望まないことは相手に行わない 4)本人の意思の尊重:死の迎え方は自分で決める 5)医療財政:医療費増大を防ぐ,の視点が必要です.今後,自然死を社会の常識にすることが望まれます.

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© 2018 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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