日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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シンポジウム
終末期の呼吸ケア
―どこまで呼吸ケア,どこから緩和?―
坪井 知正津田 徹
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2018 年 27 巻 3 号 p. 257-258

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抄録

非がん疾患の緩和ケアが普遍的なケアとして注目されるようになってきている.COPD(chronic obstructive pulmonary disease)患者では病状が進行すると,著しい呼吸困難とともにQOL(quality of life)が極度に低下し,増悪と入院の頻度が増え,低栄養と骨格筋の廃用性萎縮が進行する.

慢性呼吸不全の緩和医療に関しては,最終末期に至る以前より開始すべきことと,いかなる呼吸管理手法を用いても回復不能となった最終末期になすべきことを分けて考える必要がある.いずれにせよ,COPDの「自然経過」として死があるという認識を,患者・医療チーム全体で共有することが大切である.

緩和医療のキードラッグであるオピオイドの使用に関しては,最終末期では,十分な治療がなされているという前提で,使用に関するコンセンサスが比較的容易に得られると思う.一方,まだ時間的余裕がある時期での少量のオピオイドの使用に関しては,オピオイドが呼吸困難感の軽減効果が乏しいこともあり,様々な意見が拮抗している.

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© 2018 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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