COPDをはじめとした慢性呼吸器疾患では,終末期に至ると多彩な症状をきたし,QOLが低下する.特に近年,在宅呼吸ケアの普及に伴い,高齢者の重症慢性呼吸不全患者の数は増加傾向にあり,終末期の症状緩和を含む終末期医療(エンドオブライフケア)は極めて重要である.一方,慢性呼吸器疾患に対する緩和ケアや終末期ケアは十分なされていないことが報告されており,その理由として,いつから終末期と考えるかが明確ではないこと,患者・家族と医療者とのコミュニュケーション不足があげられている.今後,より良い終末期医療を提供するには,終末期にいたる前に従来の治療に加えて症状を緩和して事前ケアプランニングを整備する新しい緩和ケアの考え方を導入するとともに,わが国の死生観を考慮した独自の慢性呼吸器疾患の終末期医療に対するコンセンサス作りが必要である.