日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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慢性呼吸不全での夜間PtcCO2 モニタリングを用いたNPPVの調整の実際
福家 聡斎藤 拓志
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2018 年 27 巻 3 号 p. 286-289

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抄録

慢性呼吸不全での適切な呼吸管理に欠かせないPaCO2 のモニタリングにおいては,動脈内留置カテーテルを用いた方法が主に用いられている.しかし侵襲的であることや継時的変化をリアルタイムに捉えることができないなどの問題がある.我々はこれまで経皮的CO2(PtcCO2)モニタリング装置を用いた非侵襲的かつリアルタイムのモニタリングについて基礎的検討と臨床応用についての検証をしてきた.

基礎的な条件下での検討では,被験者の動脈血二酸化炭素分圧を任意にコントロールし,PaCO2 変化を変化させたところ,経皮的に測定したPtcCO2 と良好な相関を認めた.また急性変化に対するPtcCO2 の追随性も良好であった.

臨床での使用経験として急性期では,喘息重積発作やCOPD増悪,肺結核後遺症患者での急性期NPPV導入について検討した.これらの症例は,呼吸不全が進行した際にはNPPVの設定変更や挿管人工呼吸管理が必要となる場合もあり,刻々と変化していく病態を把握し評価するという点において,経時的なPaCO2 モニタリングが必須である.また慢性期の症例においては,一般呼吸器科病棟における管理を想定した.高齢者が多い肺結核後遺症やCOPD患者における呼吸管理では人工呼吸器は適応外であることも多く,通常はNPPVによる呼吸管理を一般病棟で行う.II型呼吸不全を呈しNPPVによる呼吸管理を行った症例についてPtcCO2 モニタリングの使用経験,在宅NPPV使用患者の急性悪化時におけるモニタリング,肺結核後遺症による慢性II型呼吸不全に対する慢性期NPPV導入のいずれにおいても,PtcCO2 モニタリングにより患者の病態に則したNPPV管理が可能であった.

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© 2018 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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