2018 年 27 巻 3 号 p. 312-317
当院では救急外来における気管支喘息発作治療の標準化を目的に「成人気管支喘息発作救急外来アルゴリズム」を運用しており,アルゴリズムの効果と課題を見出す目的でアルゴリズム導入前後1年間の診療状況を調査した.救急外来を受診し帰宅可能となった喘息発作症例において,アルゴリズム導入後では85.7%に経口ステロイド薬が処方され,導入前の44.8%と比較し有意に増加していた.特に呼吸器非専門医においてその傾向は顕著であった(25%から86.7%へ増加).さらに呼吸器非専門医において,67%の症例で直近の当院呼吸器外来への予約が取得されており,呼吸器専門医への連携も確立された.一方,アルゴリズムではかかりつけへ医へのフォローアップを依頼する場合の診療情報提供書作成を盛り込んでいたが,多くが口頭での受診指示のみであり,病診連携構築のための情報交換ツールが必要であると考えられた.