2019 年 28 巻 2 号 p. 303-307
【背景と目的】閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)では,上腕-足首間脈波伝達速度(baPWV)が高値を示すとされる.重症なOSASほど高血圧の合併頻度が高くなるため,無呼吸低呼吸指数(AHI)に比例してbaPWVが高くなると予測されている.これまで重症OSASにおけるbaPWVの変化に関する報告は少ない.そこで,CPAPが重症OSAS患者のbaPWVに与える影響を検討した.
【方法】対象は平成21年11月から平成27年12月までにCPAPを開始した53例.治療前にbaPWVを測定し,開始後6ヶ月以上の期間をあけて再検した.
【結果】CPAPによりbaPWVの改善を認めた.AHIが20≦AHI<30の群と30≦AHI<56の群,AHI≧56回/時間の3群に分けた検討では,いずれの群でも有意な改善傾向を認めた.
【結語】OSASではCPAPにより血圧が低下する症例が多く,baPWV改善の一因と推測された.