【目的】気管切開および人工呼吸器を装着している筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)患者に対し,蘇生バックを用いた Lung Volume Recruitment(以下 LVR)トレーニングを行い,呼吸機能に与える短期累積効果を検討した.
【方法】対象は気管切開および人工呼吸器管理を必要とするALS患者8名.LVRトレーニングは,2週間継続して行った.一回換気量,最高気道内圧,動的肺コンプライアンス,動的肺コンプライアンスの変化量,Lung Insufflation Capacity(以下 LIC)を,初日(初日LVR施行前),1週間後(1週目の最終日LVR施行前),2週間後(2週目の最終日LVR施行前)に測定し,各変数について比較・検討した.
【結果】LICは初日:1,250.0±212.5 ml,1週間後:1,291.3±279.2 ml,2週間後:1,353.8±252.9 mlであり,初日と2週間後の間に有意なLICの増加が認められた(p<0.05).その他の呼吸機能において,測定時期による有意な差は認められなかった.LVRトレーニング実施期間における気胸などの合併症はみられなかった.
【結語】LVRトレーニング施行により,LICは改善することが示唆された.
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