日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
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28 巻 , 2 号
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学会奨励賞受賞報告
  • 稲垣 武
    原稿種別: 学会奨励賞受賞報告
    2019 年 28 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    肺高血圧症(PH)に対するリハビリテーション(リハ)は,失神,心不全増悪,突然死が危惧されることから,これまで積極的には推奨されてこなかったが,近年,欧州を中心にPH患者に対するリハに関する報告が散見され始め,その効果と安全性が示されている.しかし,PHは希少性難治性疾患であることから,本邦におけるPH患者に対するリハの報告は非常に少ない.我々は,慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するリハの効果,さらには6分間歩行試験(6MWT)によって評価される運動中の心拍数(HR),SpO2の変化のパターンとCTEPHの病態・重症度との関連について興味を持ち,検討を重ねてきた.

    その結果,CTEPH患者に対する3ヶ月間の外来リハにより,運動耐容能,健康関連QOL,身体活動量等が改善し,特に有害事象を認めなかった.また,本症における6MWT中のHR,SpO2の変化のパターンは,肺血行動態と関連することが明らかになった.

  • 岩倉 正浩
    原稿種別: 学会奨励賞受賞報告
    2019 年 28 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の呼吸リハビリテーションにおいて,客観的な身体活動(PA)の評価・介入を目的とした加速度計機器の臨床応用が進んでいる.しかし,加速度計を用いたPAの評価では,歩行以外の移動の評価が不可能であった.COPD患者のPAに関連する因子や,PA向上プログラム(PA-P)の効果的な条件とその効果も十分に明らかにはなっていない.また,COPD患者における加速度計機器を用いた歩行やバランスの評価を行った報告は非常に少ない.そこで,我々は①加速度計を用いた四つ這い位・移動と自転車駆動時間の測定方法の開発,②COPD患者において加速度計にて測定したPAと歩行・バランスの関連の検討,③COPD患者を対象としたPA-Pと栄養療法の併用効果の検討,④加速度計によるCOPD患者の歩行の評価を中心に,COPD患者を対象とした呼吸リハにおける加速度計機器の臨床応用の可能性を検証してきた.今後は加速度計機器とその活用法の普及が必要になると考えられた.

スキルアップセミナー
  • ―最近のインフルエンザ診療の考え方も含めて―
    関 雅文
    原稿種別: スキルアップセミナー
    2019 年 28 巻 2 号 p. 174-178
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    肺炎はガイドライン2017において,市中肺炎,院内肺炎,医療・介護関連肺炎がいったん統合される形で診療されることになった.但し,A-DROPシステムがSOFA/qSOFAシステムと併用されて重症度の判定に使用され,定型・非定型肺炎の鑑別法も引き続き使用される.抗菌薬はペニシリン系薬を軸とする基本的考え方は今後も同様であり,インフルエンザ診療でのワクチンなど,予防的対応にも重点を置くことが改めて確認された.

  • 野原 幹司
    原稿種別: スキルアップセミナー
    2019 年 28 巻 2 号 p. 179-185
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    超高齢社会を迎えた日本においては高齢者の肺炎,その中でも誤嚥性肺炎の予防と対策が大きな課題となっている.

    これまで肺炎といえば,呼吸器内科医をはじめとする呼吸器に関連する医療者が,その対策の主軸を担ってきた.しかし,誤嚥性肺炎は,その原因となる「誤嚥」を診ている医療者と,「肺炎」という結果を診ている医療者が異なるという特殊性を有している.

    誤嚥性肺炎とは呼吸器のみの疾患ではなく,「どのような食事をどれだけ食べてよいか」というギリギリのラインを,嚥下機能,口腔機能,口腔内の状況,服薬内容,栄養状態,循環機能,呼吸機能など,さらにはその症例を取り巻く家族や医療・介護リソースを総合的に判断して見極めるという非常に興味深い疾患である.

    本稿では,誤嚥性肺炎の予防と対策を進めるにあたり,誤嚥と肺炎の両方の面からの誤嚥性肺炎について考察を加えた.本稿の主たる目的は誤嚥と肺炎の橋渡しである.

  • 福家 聡
    原稿種別: スキルアップセミナー
    2019 年 28 巻 2 号 p. 186-189
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    COPDによる死亡が増加しているが,我が国での特徴としてCOPDによる死亡者は80歳以上の高齢者が多い.つまり息切れなどの症状を抱えて長生きをしている可能性がある.健康寿命延伸という観点からも,COPD患者に対しては薬物療法のみならず,呼吸リハビリテーションを含む包括的介入を行うことが重要であるが,本セミナーでは介入の基軸である薬物療法について解説したい.最新のガイドラインでは治療の中心は長時間作用型気管支拡張薬である.増悪予防においても,吸入ステロイドのポジションは限定的になり,抗コリン薬とβ刺激薬の併用が主体になりつつある.短時間作用型気管支拡張薬のアシストユースや喘息様症状を持つCOPD患者への対応も併せて紹介する.本学会員が中心となって最新の知見を臨床現場へ反映させていくことを目指していきたい.

  • 杉野 圭史
    原稿種別: スキルアップセミナー
    2019 年 28 巻 2 号 p. 190-195
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    間質性肺炎が疑われた場合は,予後の面および治療内容を決定する上でも特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis; IPF)とそれ以外の間質性肺炎を鑑別することが重要なポイントである.現在,IPFに対しては抗線維化薬であるニンテダニブおよびピルフェニドンが推奨されている.一方,非特異的間質性肺炎,膠原病肺,薬剤性肺炎,過敏性肺炎などでは,ステロイド単独投与や免疫抑制薬との併用療法が一定の効果を示すことが知られている.加えて,急性増悪時のステロイド治療に加えてトロンボモジュリンや抗線維化薬の併用,肺高血圧合併例に対するホスホジエステラーゼ5型阻害薬,エンドセリン受容体拮抗薬などの導入,閉塞性換気障害を有する気腫合併肺線維症患者に対する吸入長時間作動型抗コリン薬・β刺激薬の導入,慢性安定期の患者においては,リハビリテーション導入を考慮する.間質性肺炎患者では,労作時の呼吸困難による身体機能低下がdeconditioningをもたらし,運動耐容能の減少,QOLの低下,不安やうつ状態に繋がると考えられる.これら運動耐容能の減少,QOLの低下,不安やうつ状態に対して,呼吸リハビリテーション(特に運動療法)は改善効果が期待できる.

    本稿では,間質性肺炎の診断と治療について,自験例を交えながら概説する.

  • ―呼吸リハビリテーション―
    佐藤 晋
    原稿種別: スキルアップセミナー
    2019 年 28 巻 2 号 p. 196-199
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    呼吸リハビリテーションはその定義付けについて変遷があり,最新のステートメント(案)においては「包括的」「継続的」「生涯にわたり長期」「双方向性」などの重要なキーワードを含めており,正しく全人的な医療介入である.最もエビデンスの蓄積が豊富なCOPDにおける治療の位置づけはもはや比較の必要も無い程に「必須」のものと捉えられ,最近の薬物療法の進歩と相まって「COPDは治療可能」と称するに至っている.

    しかし課題は多く,アクセスであったり,継続的な介入について機器を使ったリハビリテーションの可能性,又行動変容を含めた全人的な継続的な介入に関しての最近の話題を紹介する.

特別教育講演
  • 上月 正博
    原稿種別: 特別教育講演
    2019 年 28 巻 2 号 p. 200-205
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    わが国は世界一の超高齢社会である.超高齢社会では重複障害という新たな課題に直面している.その中でも呼吸器機能障害と心臓機能障害のような内部障害の重複が多い.呼吸リハビリテーションと心臓リハビリテーションで共通して得られる改善効果は,運動耐容能,息切れや易疲労感,QOL,筋血流量の増加,筋肉の酸化代謝能,筋力,自律神経機能,血管内皮機能などがある.重複障害時代のリハビリテーションを担うには,各臓器に特異的な問題とともに,脳・心・肺・骨関節などの臓器連関を考慮することが必要である.

    本稿では特に呼吸・循環の重複障害を中心にリハビリテーションの意義と注意点に関して概説した.

会長企画教育講演
  • 荒井 秀典
    原稿種別: 会長企画教育講演
    2019 年 28 巻 2 号 p. 206-211
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    高齢化している呼吸器疾患患者において認知症,尿失禁,転倒などの老年症候群とともにサルコペニア,フレイルの合併が多くなってきている.特にCOPD患者においては息切れなどによる運動制限や慢性炎症から身体機能が低下しやすく,サルコペニア,フレイルの合併頻度が高い.同時にこれらの合併症はCOPD患者の予後に影響を与える.これらの病態は高齢者において合併しやすいが,COPD患者においてはより若年期からの合併の有無についてスクリーニングを行うとともに適切な予防策を講じることが求められる.すなわち,呼吸器疾患の管理とともに適切な栄養療法,運動療法を継続することが老年期におけるサルコペニア,フレイルの予防につながり,ひいては呼吸器疾患患者の予後の改善につながる.本稿ではサルコペニア,フレイルの概念を概説し,呼吸器疾患患者において問題となりつつあるこれらの病態に対する対処法について述べたい.

教育講演
  • 宇都宮 宏子
    原稿種別: 教育講演
    2019 年 28 巻 2 号 p. 212-216
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    疾病の構造・概念も大きく変化し,病院という環境下で治療し,治癒を目指してきた20世紀の医療から,高齢少子化の時代は,治癒しない病気や,加齢に伴う晩期退行性病変と呼ばれる認知症を抱えながら,生きていく事に伴走し,暮らしを支える医療への転換が求められている.

    病院から在宅療養への移行支援を,実践値をもとに,可視化した3段階のプロセス,そして,病院機能・規模に応じて院内・地域支援者との早期から連携・協働について紹介する.

    Aging in place(本人が望む場所で,暮らし・生活が継続できて,その延長線で人生の最期を迎えることができる)を実現するために,病院に求められる退院支援・外来での在宅療養支援とは,どのようなことなのか.そして,病気・患者の状況から,大事な分岐点に,一歩先を予測してこれからのことへ備え,心づもりをする.ACPは,主語は患者自身であるが,一緒に考える場を作り,地域支援者とともに,思いをつなぎ,紡いでいく事であると考えている.

  • 南方 良章
    原稿種別: 教育講演
    2019 年 28 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    慢性閉塞性肺疾患(COPD)の身体活動性に対し,客観性の高い加速度計を用いて評価しその向上を目指すことは,患者管理の上で重要である.しかし,評価を行う上でいくつかの注意を払うべき点が存在する.まず,加速度計非装着状態のデータの除外,雨天の日の除外,最低必要解析日数を確保しデータの再現性を高める必要がある.次に,種類別活動時間,強度別活動時間,平均活動強度,歩数等,身体活動性の指標毎の差異についても考慮すべきである.また,身体活動性改善のためには,薬剤,呼吸リハビリテーション,モチベーション向上などを組み合わせた複合的介入が重要である.さらに,新たな指標としてのSedentary時間(座位相当時間)にも着目し,その短縮を目指す努力も必要である.これらの点に注意することで,より精度の高い身体活動性評価が可能になり,医療介入の身体活動性改善効果をより正確に評価しうると考えられる.

国際シンポジウム
  • 長谷川 智子, 佐野 裕子
    原稿種別: 国際シンポジウム
    2019 年 28 巻 2 号 p. 223
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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  • ―急性増悪させない,入院させない包括的多面的チームアプローチ―
    武知 由佳子, 横田 直子, 宇佐美 記子 , 遠藤 直子, 丸山 ゆかり, 石山 亜希子
    原稿種別: 国際シンポジウム
    2019 年 28 巻 2 号 p. 224-229
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    COPDはいまやCommon diseaseであるため,COPD呼吸ケアに長けた医師やチームが担当するわけではない.ガイドラインが出版されても診断されなければ,適切な気管支拡張薬も呼吸リハビリテーションも処方されず,呼吸器悪液質に陥ってしまった患者に出会う.また診断されてもCOPDの多様性ゆえ病像は複雑で,生活の場で実際伴走し多職種で関わるからこそ把握でき,多面的にケアできれば,呼吸困難なく活動性高く,質の高い生活が可能となる.急性増悪は呼吸機能,QOL,生命予後を低下させる.急性増悪を回避させることこそ最優先に行うべきことである.急性増悪は日常生活の中で起こる.だから生活の場にいき伴走し急性増悪のパターンを把握し,早期発見早期介入すれば回避できるのだ.そして患者自らがセルフマネジメントできるまでに育てること,ここが在宅呼吸ケア・リハビリテーションのゴールである.

  • ―増悪入院減少をめざして―
    佐野 裕子, 松岡 緑郎, 佐藤 容子, 木村 忍ぶ, 三原 昭二, 黒澤 一
    原稿種別: 国際シンポジウム
    2019 年 28 巻 2 号 p. 230-234
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    COPDではくり返す増悪は生存率を低下させると報告されており,また身体活動性(daily physical activity; DPA)は生命予後との関係が強い.呼吸リハビリテーションによってCOPDの入院回数・日数を減少させることはエビデンスレベルAであり,DPAを維持・改善し,増悪をくり返さない生活を継続することはCOPD在宅患者の重要な目標である.筆者らはリハビリテーション施設を持たないクリニックにおいて呼吸リハビリテーション外来を実施している.歩行スペースや運動機器もなく,セルフマネジメント教育を重視した外来である.本シンポジウムでは我々が実践している低頻度介入の外来での取り組みについて,DPAとCAT(COPD Assessment Test)との関連も含めて報告する.

  • ―慢性呼吸器疾患看護認定看護師にできること―
    上田 真弓
    原稿種別: 国際シンポジウム
    2019 年 28 巻 2 号 p. 235-237
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    慢性呼吸器疾患看護認定看護師(Chronic Respiratory Nursing-Certified Nurse:以下,CRN-CN)は,慢性疾患や終末期を迎える患者とその家族が,在宅で安心して療養生活を送れるように支援する使命がある.当センターでのCRN-CNの活動としては,人工呼吸管理に関することや患者教育・スタッフ教育などを主とした,施設内の活動を中心に行っている.今後,施設内だけの認定活動に限らず地域医療スタッフとの連携を図り,安楽な呼吸ケアについて実践・指導・相談の認定活動を拡大し,地域と病院をつなぐ看護師となりえることを課題としている.本シンポジウムでは,地域から求められる慢性呼吸器疾患看護認定看護師の在り方や具体的な実践課題などについて検討し,シームレスな呼吸ケアを目指すための方策を見出す.

  • 赤嶺 史郎
    原稿種別: 国際シンポジウム
    2019 年 28 巻 2 号 p. 238-241
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    医療機器は現在の高度先進医療を支える重要な役割を担っており,在宅医療においても多種多様な医療機器が使用されている.しかし,現状として医療機器の取り扱い専門職である我々臨床工学技士(Clinical Engineer:以下CE)の業務においては,在宅医療に関する業務指針やガイドラインなどがまだ示されていない.そのためCEの在宅医療への関わり方について,対応すべき事項や今後の活動展開などを検討した.さらにCEの専門性を活かした多職種連携により,在宅領域におけるチーム医療に貢献することを目的とした.

ワークショップ
  • 南雲 秀子, 淺川 久美子
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 242-243
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML
  • 鬼塚 真紀子
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 244-248
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    セルフマネジメント支援は,患者の病態が落ち着いた慢性期に行われるのが一般的である.しかし,高齢化や平均在院日数の短縮が進む中,慢性期移行後のセルフマネジメント支援の開始では,セルフマネジメント能力を獲得できないまま患者が退院となるケースも少なからずある.そこで,急性期~回復期の時期に着目した.急性期は,ベッドサイドにある生体情報モニターにより,数値と症状・徴候をタイムリーに照らし合わせる環境が整っており,かつ,増悪時の鮮明な身体感覚が残っている時期である.これらをうまく活用しながら,セルフモニタリング支援を開始することが患者のセルフマネジメント能力の回復・向上に有効と考える.

  • ―在宅の生活スタイルを考えて―
    小室 圭子
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 249-252
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    慢性呼吸器疾患患者は治療を継続しているにもかかわらず,基礎疾患の進行や加齢に伴い一般的には経年的な肺機能低下がある.今回,息切れの訴えと酸素療法を行っている呼吸器内科外来を受診した32名と呼吸器内科病棟で息切れの訴えや酸素療法を行っている患者50名を対象に看護介入を行った.看護介入の延べ数は397件であり,入院222件(55.9%),外来175件(44.1%)であった.疾患別では,間質性肺炎35名(42.7%),とCOPD 21名(25.6%)の患者で過半数を占めていた.介入内容は,酸素療法174件(43.8%)が最多であり,呼吸法113件(28.5%),薬物療法34件(8.6%)と続いた.患者のセルフマネジメント能力を効果的に引き出すためには,必要なときに指導・相談ができる環境が重要である.慢性呼吸器疾患看護認定看護師が病棟と外来の組織横断的活動を行うことは,患者への質の高いケア介入となり,患者のセルフマネジメント能力を効果的に引き出す手段の1つであると考えられた.

  • 玉木 彰, 神津 玲
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 253
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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  • 大嶋 春乃, 長濱 秀明, 小林 千穂, 椿 淳裕, 小川 智
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 254-258
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    呼吸困難感が強い慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のリハビリテーション介入は難渋することが多い.今回,動作時に呼吸困難感が生じるCOPD患者に対して,外来のリハビリテーションを行ったが,症状のコントロールが難しく,運動療法や身体機能維持に向けての支援に難渋した事例を報告する.外来でのリハビリテーション介入当初より動作時呼吸困難感の訴えがあり,筋力トレーニングや有酸素運動は積極的にできず,身体機能維持,呼吸困難感軽減のために動作や呼吸法の指導を中心におこなった.しかし,日常生活動作のみの身体活動では呼吸困難感軽減,身体機能維持は困難であった.ワークショップでは,多職種から意見を頂き,運動療法だけでなく吸入,栄養療法,心理面も含めた介入やその方法など幅広くディスカッションをすることができ,患者と共に目標を設定し,支援していく必要性を再確認した.

  • ―人工呼吸器離脱に向けた理学療法―
    古川 大, 柴田 和幸, 大倉 和貴, 岩倉 正浩, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 円山 啓司, 塩谷 隆信
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 259-261
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    近年,重症患者の生命予後の改善に伴い,集中治療室(Intensive care unit: ICU)滞在中のICU関連筋力低下(ICU-acquired weakness: ICU-AW)を代表とした運動機能障害の合併が問題となり,短期および長期機能予後に悪影響を及ぼすことが報告されている1).ICU患者に対する早期介入の有効性については人工呼吸器期間,ICU在室日数,入院期間の短縮,せん妄の発症減少と期間短縮,運動機能や日常生活動作の早期獲得,加えて生活の質の向上や長期機能予後の改善が得られるとして十分なEvidenceが確立されている2).本症例は,全身状態が重篤かつ不安定であった重症患者で,人工呼吸器,透析器などの多数のメカニカルサポートを要した.呼吸器合併症の予防と早期離床,体位管理を実践したことでweaningに成功し,独歩で退院に至った一例を経験したため報告する.

  • 小泉 美緒, 玉木 彰, 永田 一真, 名和 厳, 富井 啓介
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 262-265
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    症例は73歳男性,特発性肺線維症に気胸を合併していた.公営住宅3階に独居で,ポータブルタイプの酸素濃縮器を使用し,同調式 3 L吸入下で歩行と階段昇降を行っていた.理学療法開始時には下肢筋力低下および運動耐容能の低下を認め,同調式吸入下での階段昇段時に低酸素血症と著しい呼吸困難,呼吸数増加を認めていた.3週間の介入によって下肢筋力,運動耐容能は改善したものの,同調式吸入下では階段昇降時の呼吸困難,低酸素血症は改善しなかったため,同調式から連続式に切り換え可能な呼吸同調器付きの酸素ボンベへ変更した.その結果,連続式吸入下で20段の階段昇段と1回の立位休憩で目標であった階段昇段40段を獲得し,本症例は自宅退院に至った.本症例のような階段昇段時に低酸素血症,呼吸困難,呼吸数増加を呈する患者に対しては,一時的に連続式を使用する指導の検討が必要と考えられた.

  • 塩谷 隆信, 神津 玲
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 266-267
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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  • ―その進歩と普及を中心に―
    田中 貴子, 神津 玲, W. Darlene Reid
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 268-273
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    慢性呼吸器疾患患者,特にCOPDにおいて呼吸筋機能不全は呼吸機能障害の主要な特徴である.これに対し,呼吸筋トレーニングは呼吸リハビリテーションの一手段として適用される.一般的に呼吸筋トレーニングは,吸気筋トレーニング(IMT)を意味し,負荷刺激を適用することによって,その強化を試み,換気能力を高め,呼吸困難や運動耐容能の改善を図る.COPDに対するIMTの有用性について,システマティックレビュー(SRs)が報告されている.これらによると,IMTは一般的な運動療法との併用により,呼吸筋力のみならず,運動耐容能,呼吸困難,健康関連QOLなどにおいて有意な改善効果を認めている.しかし,ガイドラインでのエビデンスのレベルは高くなく,実際の臨床現場における取り組みは不明である.本稿では,SRsをもとに,IMTの臨床的意義について紹介し,臨床現場での現状とその課題について解説した.

  • 市立秋田総合病院での取り組み
    大倉 和貴, 川越 厚良, 岩倉 正浩, 柴田 和幸, 古川 大, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 本間 光信, 塩谷 隆信
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 274-278
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    吸気筋トレーニング(IMT)は,種々のガイドラインにおいてその推奨度は高くない.また,日本においては,様々な理由でIMTを導入していない施設が多く,その有効性に関する報告も少ないのが現状である.以前から,当院では,外来通院中の安定期慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対して積極的にIMTを実施している.その結果,呼吸筋力の増強,息切れの軽減,運動耐容能の向上といった効果が得られている.本稿では,当院におけるCOPD患者に対するIMTの効果の検証報告を紹介するとともに,実施方法を例示することでIMTが普及する一助としたい.

  • ―脳血管障害における摂食嚥下・咳嗽機能での検証―
    俵 祐一, 藤島 一郎, 有薗 信一, 森下 一幸, 花井 聡, 岡田 芳郎, 片桐 伯真, 神津 玲
    原稿種別: ワークショップ
    2019 年 28 巻 2 号 p. 279-285
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    目的:咳嗽力を高めるための呼気筋トレーニング(以下EMT)が摂食嚥下障害にも有効と言われているが,脳血管障害での報告は少ない.今回,摂食嚥下障害を有する脳血管障害患者にEMTによる咳嗽や嚥下への効果について検証した.

    方法:摂食嚥下障害を有する脳血管障害患者に対し,最大呼気圧の75%強度でEMT負荷圧を設定し,1日25回,週5日の頻度で4週間EMTを実施した.その前後で呼吸筋力,咳嗽時最大呼気流量,嚥下機能検査,発声機能検査,肺機能検査を測定し比較検討した.

    結果:16例の患者にEMTを実施し,呼吸筋力,嚥下機能,咳嗽時最大呼気流量,発声機能,肺機能において有意な改善を認めた.また,嚥下に関連する主観的症状の有意な改善も認めた.

    結論:摂食嚥下障害を有する脳血管障害患者へのEMT実施は,気道分泌物喀出能の改善や誤嚥リスクを軽減することができ,誤嚥性肺炎予防の手段として期待できることが示唆された.

総説
  • 佐竹 將宏, 塩谷 隆信, 高橋 仁美, 菅原 慶勇
    原稿種別: 総説
    2019 年 28 巻 2 号 p. 286-290
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    6分間歩行試験(6MWT)は,運動耐容能を評価するフィールド歩行テストのひとつであり,呼吸運動療法には必須の評価項目である.6MWTは2002年ATSからガイドラインが発表され方法の統一が提案された.2014年にはERS/ATSからシステマティック・レビューとテクニカル・スタンダードが発表された.

    6MWTの一次評価項目は6分間歩行距離(6MWD)である.6MWDの予測式はEnrightらによって報告されている.日本人の予測式は間もなく本学会から報告される予定である.

    6MWTは,「6分間にできるだけ長い距離を歩くこと」と定義されている.我々は6MWTの運動負荷は定常負荷であること,また携帯型呼気ガス分析装置等を用いて,6MWTの負荷強度は嫌気性代謝閾値以上であることを示唆した.

    近年,6MWTは多くの呼吸器および循環器疾患の運動耐容能の評価に必要な検査となってきている.6MWTについて,その生理学意義や特性を理解し,さらにどの施設においても標準的な方法で実施できることが大切である.

特別報告
  • 富井 啓介, 門脇 徹, 北島 尚昌, 福井 基成, 永田 一真, 堀江 健夫, 阿部 博樹, 奥田 みゆき, 丞々 弥生, 坪井 知正, ...
    原稿種別: 特別報告
    2019 年 28 巻 2 号 p. 291-297
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    慢性呼吸不全に対する在宅長期ハイフローセラピーは,解剖学的死腔の洗い出し,相対湿度100%の加湿,呼気時陽圧換気,低侵襲のインターフェイス,高流量システムによる安定したFIO2供給などにより,COPD,気管支拡張症,拘束性換気障害などで有効性が期待される.特にCOPDに関しては夜間就寝中の使用で夜間及び日中のPaCO2低下,QOL改善,増悪抑制などがランダム化比較試験で示されており,PaCO2が 45 mmHg以上 55 mmHg未満,もしくは 45 mmHg未満でも夜間低換気を認めるような場合が適応と考えられる.臨床試験における長期ハイフローセラピーの有害事象は軽微なもののみであったが,導入にあたっては入院の上,動脈血ガスや経皮酸素飽和度,経皮CO2分圧,バイタルサインなどをモニターしながら適切な流量とFIO2,加湿温度を設定し,さらに鼻カニュラの装着や加湿用水,機器の管理教育などを十分に行う.

原著
  • 解良 武士, 河合 恒, 平野 浩彦, 渡邊 裕, 小島 基永, 藤原 佳典, 井原 一成, 大渕 修一
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 2 号 p. 298-302
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    【目的】呼吸筋も骨格筋であるため加齢による機能低下を免れることはできない.そのため呼吸筋力の指標としての最大呼気流速(PEFR)が,サルコペニア罹患の影響を受けるかを検討した.

    【方法】当研究所の2015年コホート研究への参加者427名を対象とした.対象者には体組成,スパイロメトリー,身体機能を測定した.それらをサルコペニア群と非サルコペニア群で比較した後,PEFRを従属変数,サルコペニアの有無と共変量の候補を独立変数としたstepwiseによる重回帰分析を行い,サルコペニア有無によるPEFRの影響を検討した.

    【結果】サルコペニア群は非サルコペニア群に比べ,身体機能のほか呼吸機能も低値を示した.重回帰分析の結果,サルコペニア有無はPEFRに有意に関係し(p=0.012),共変量を調整したサルコペニア罹患によるPEFRへの影響は約 0.5 L/secと見積もられた.

    【考察】サルコペニアはPEFRを低下させるが,これが将来の健康上の問題とどのように関係しているかについての更なる検討が必要である.

  • 吉野 宗明, 須賀 達夫, 大村 一之, 鈴木 瑞季, 鈴木 結香理, 中村 美樹, 根松 香織, 長田 知美, 原 史郎, 青木 康弘
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 2 号 p. 303-307
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    【背景と目的】閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)では,上腕-足首間脈波伝達速度(baPWV)が高値を示すとされる.重症なOSASほど高血圧の合併頻度が高くなるため,無呼吸低呼吸指数(AHI)に比例してbaPWVが高くなると予測されている.これまで重症OSASにおけるbaPWVの変化に関する報告は少ない.そこで,CPAPが重症OSAS患者のbaPWVに与える影響を検討した.

    【方法】対象は平成21年11月から平成27年12月までにCPAPを開始した53例.治療前にbaPWVを測定し,開始後6ヶ月以上の期間をあけて再検した.

    【結果】CPAPによりbaPWVの改善を認めた.AHIが20≦AHI<30の群と30≦AHI<56の群,AHI≧56回/時間の3群に分けた検討では,いずれの群でも有意な改善傾向を認めた.

    【結語】OSASではCPAPにより血圧が低下する症例が多く,baPWV改善の一因と推測された.

  • 岩﨑 円, 鵜澤 吉宏, 金子 教宏
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 2 号 p. 308-313
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    【目的】通院リハビリの説明を受けたが通院リハビリを実施していない慢性閉塞性肺疾患患者のリハビリ希望や通院リハビリが困難な背景を知り,日常生活での身体活動量を明らかにすること.

    【方法】外来通院中患者を対象に通院手段,運動頻度,自宅での仕事や家事の役割を聞取り調査し,身体活動量は腰部装着型3軸加速度計を用いて1か月間の平均1日歩数測定と推定身体活動指数を算出した.

    【結果】対象は51名で平均年齢は76歳,51名中23名に通院リハビリ希望があったが,時間の都合,通院距離や手段などにより通院リハビリを受けないと回答した.推定身体活動指数は自己申告運動頻度やmodified Medical Research Council,GOLD総合評価,平均1日歩数と関連した.

    【結語】通院リハビリは希望があっても生活の中の時間の都合や通院距離や手段による困難さがみられた.身体活動量は運動頻度や平均1日歩数と関連しており通院リハビリが困難な方にはこれらを確認した指導が必要と考える.

  • 中茎 篤, 松嶋 真哉, 横山 仁志, 武市 梨絵, 渡邉 陽介, 中田 秀一, 峯下 昌道, 駒瀬 裕子
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 2 号 p. 314-319
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    【はじめに】COPD患者は身体機能低下が問題視され,その原因の1つとして低栄養が考えられている.我々はCOPD患者の身体機能の経時的変化を調査し,栄養状態との関連を明らかにした.

    【方法】対象は安定期COPD患者71例とした.栄養状態は%理想体重で評価し,90%未満を栄養障害有り(17例),90%以上を栄養障害無し(61例)に分類した.身体機能は6分間歩行距離(6MWD),等尺性膝伸展筋力(KES),握力 (HG) を1年毎に計2回測定し,各変化量 (Δ) を2群間で比較した.また各変化量を従属変数とした重回帰分析を行った.

    【結果】身体機能の変化量はΔ6MWD,ΔKESおよびΔHG全ての項目で2群間に有意差を認めた(p<0.05).各Δ身体機能が従属変数の重回帰分析は各モデルで栄養状態が有意な規定因子であった(p<0.05).

    【考察】COPD患者の身体機能変化には栄養障害の有無が関連することが明らかになった.安定期COPD管理における栄養状態の重要性が再確認された.

  • 芝﨑 伸彦, 沼山 貴也, 望月 久
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 2 号 p. 320-323
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】気管切開および人工呼吸器を装着している筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)患者に対し,蘇生バックを用いた Lung Volume Recruitment(以下 LVR)トレーニングを行い,呼吸機能に与える短期累積効果を検討した.

    【方法】対象は気管切開および人工呼吸器管理を必要とするALS患者8名.LVRトレーニングは,2週間継続して行った.一回換気量,最高気道内圧,動的肺コンプライアンス,動的肺コンプライアンスの変化量,Lung Insufflation Capacity(以下 LIC)を,初日(初日LVR施行前),1週間後(1週目の最終日LVR施行前),2週間後(2週目の最終日LVR施行前)に測定し,各変数について比較・検討した.

    【結果】LICは初日:1,250.0±212.5 ml,1週間後:1,291.3±279.2 ml,2週間後:1,353.8±252.9 mlであり,初日と2週間後の間に有意なLICの増加が認められた(p<0.05).その他の呼吸機能において,測定時期による有意な差は認められなかった.LVRトレーニング実施期間における気胸などの合併症はみられなかった.

    【結語】LVRトレーニング施行により,LICは改善することが示唆された.

  • 塚本 陽子, 設楽 久美子, 伊藤 郁乃, 森田 三佳子, 古田島 直也, 見波 亮, 内田 裕子, 大島 真弓, 新藤 直子, 松井 弘稔
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 2 号 p. 324-329
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    慢性呼吸器疾患患者の入浴に関する報告は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象としたものが多く症例数も少ない.本研究の目的はCOPDを含む慢性呼吸器疾患患者の入浴中の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の変動を後方視的に調査し負担のかかりやすい動作を明らにすることで効率的な動作指導を検討することである.作業療法士が入浴評価を実施した61名を対象に入浴を構成する各動作項目(脱衣,洗体,洗髪,体拭き,着衣)後のSpO2値を調査した.加えて入浴評価と6分間歩行試験(6MWT)を同じ酸素量で実施した25名を対象に入浴時と6MWT時のSpO2最低値を比較した.入浴時のSpO2値は体拭きで最低値を示し,約35%の患者は6MWTのSpO2最低値を下回った.入浴時は体拭きでSpO2が低下しやすいことを考慮し指導を行う必要がある.また労作時の酸素流量設定は6MWTに加え入浴評価も実施した上で決定することが望ましい.

  • 沼野上 由紀, 山田 尚子, 本田 勇二, 細井 沙耶香, 小柳 ひとみ, 川﨑 紋子, 大内 圭子, 中村 明子, 名和 健
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 2 号 p. 330-334
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    【背景】メディカルスタッフが喀痰等の吸引(吸引)を行うためには,各施設で必要な研修や教育を実施する必要がある.

    【方法】呼吸療法サポートチーム(RST)が中心となり研修,認定制度を作成した.対象は25名(理学療法士13名,作業療法士5名,言語聴覚士4名,臨床工学技士3名)であり,筆記試験を含む講義,自作の模型による演習,さらに病棟看護師の立会い,指導のもと患者実習(12例以上)を行なった.認定者には修了証とバッジを作成した.

    【結果】2016年8月から12月で全員が研修を修了した.認定者により2016年12月から2017年3月までに延べ396件の吸引が実施され,インシデントは0件であった.さらに,研修体制の整備を通じて看護師の吸引手技や使用用具の統一も図られた.

    【結語】メディカルスタッフによる吸引は患者ケアの向上や看護師の負担軽減に繋がる可能性がある.

  • 照井 佳乃, 岩倉 正浩, 須藤 恵理子, 川越 厚良, 大倉 和貴, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 長谷川 弘一, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 2 号 p. 335-341
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
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    【目的】歩行時におけるCOPD患者の加速度データから算出した重心変位の特徴を明らかにすることを目的とした.

    【方法】対象はCOPD患者16名,健常高年者21名とし,3軸加速度計を腰部に装着して 10 mを歩行させた.加速度から重心変位を算出し,左右と上下重心変位をプロットした運動軌道図から左右対称性の指標であるLissajous Index(以下,運動軌道LI)を算出した.重心変位や運動軌道LIと身体機能諸指標との関連を検討した.

    【結果】COPD患者の左右重心変位は健常高年者よりも有意に拡大し,片脚立位保持時間,大腿四頭筋筋力,呼吸困難感との間に有意な相関関係がみられた.運動軌道LIは両群間に有意差がみられず,身体機能との相関関係もみられなかった.

    【結論】左右重心変位は立位バランス能力や下肢筋力を反映した評価指標である可能性が示唆された.COPD患者の歩行時重心変位左右非対称性を運動軌道LIにて評価することは困難であると考えられた.

  • 加賀屋 勇気, 皆方 伸, 大倉 和貴, 越後谷 和貴, 阿部 芳久, 塩谷 隆信
    原稿種別: 原著
    2019 年 28 巻 2 号 p. 342-348
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】心不全の入院期に行う吸気筋トレーニング(IMT)の効果と安全性を検討すること.

    【方法】入院期心不全患者24名を,最大吸気口腔内圧(PImax)の40%でIMTを行うIMT群(13名)と,プラセボ群(11名)に分類した.IMTは30回2セットを2週間継続した.実施前後にPImax,6分間歩行距離,およびその前後の呼吸困難感(Borg Scale),膝伸展筋力を測定した.体重,EF,CTR,BNPの推移も確認した.IMT中には心電図モニタリングを行った.各測定値の差は,分割プロットデザインによる分散分析,またはMann-WhitneyのU検定にて検討した.

    【結果】PImax(P<0.05)で有意な交互作用がみられ,Borg Scaleは,IMT群で有意な低下がみられた(P<0.05).両群で2名,IMT中に期外収縮の出現,頻度増加を認めたが,心不全増悪は見られなかった.

    【結論】入院期心不全患者に行うIMTは安全に施行可能であり,吸気筋力の向上,労作時の呼吸苦を軽減する効果があると考えられる.

研究報告
  • 多田 菊代, 村山 明彦
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 28 巻 2 号 p. 349-353
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    重複障害を抱える高齢者の増加と共に,医療機器を使用するリハビリテーション実施患者数の著しい増加が予測される.しかし,リハビリテーション職(以下:リハビリ職とする)の医療機器製品の取り扱いに関する卒前・卒後教育は十分と言えない.そこで,リハビリ職が当事者である医療事故等の実態の把握を目的に,日本医療機能評価機構の医療事故データベースを用いて,リハビリ職が当事者の医療事故およびヒヤリ・ハット事例を抽出し,医療機器の種類や要因等の集計・分析を行った.医療事故の該当は全22,163件のうち261件が該当であり,内6件が医療機器関連であった.過去5年間のヒヤリ・ハット事例は74件で内57件は医療機器関連に起因していた.発生事象の詳細分析より医療機器製品の取り扱いや安全管理の知識の習得を目的に卒前教育と並行し,卒後教育(特に新人教育)内容検討の必要性,多職種連携での共同学習方法の検討や学習方法の開発の必要性も示された.

  • 前田 朝陽, 不動 政代, 長井 宏文, 東浜 由記, 斉藤 利英, 加藤 諒, 北村 佳子, 紺家 千津子
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 28 巻 2 号 p. 354-360
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】本研究の目的は,慢性閉塞性肺疾患や気管支喘息の患者への当院の吸入指導と多職種連携の実態を明らかにすることである.

    【方法】当院で吸入指導に関わった経験のある医師,薬剤師,看護師を対象に吸入指導に関する質問紙調査を行った.

    【結果】142名に質問紙を配布し,有効回答数は115名で有効回答率は80.9%であった.実施している吸入指導内容で最も多かったのは,医師では「病態説明」86.6%,薬剤師では「吸入手技・動作」100.0%,看護師では「吸入手技・動作」93.3%であった.多職種連携上の課題として,医師と薬剤師からは「役割が明確でない」,看護師からは「指導マニュアルがない」があった.

    【考察】本研究結果から,吸入指導内容が,職種間で重複していることが明らかとなったことより,各職種の役割と具体的な指導内容を明確にする必要性が示唆された.

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