日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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シンポジウム
呼吸療法認定士のコンピテンシー
飯田 有輝
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2020 年 29 巻 1 号 p. 8

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近年,医療の発展により患者予後が著しく改善した半面,高度医療の適応拡大とともに重症患者管理の必要性が増加している.呼吸療法においても高度化・複雑化しており,人工呼吸,吸入療法,酸素療法,呼吸理学療法など日常臨床における重要な治療手段のひとつとして広く普及している.呼吸療法に関わる専門職種は様々で,医師をはじめ専門家各々が効果的かつ複合的に成果を求めるが,呼吸療法はチーム医療が前提である事は言うまでもない.呼吸療法認定士は多職種間で一定レベルの知識技術ならびに共通言語を持ち,多職種連携のもと資格背景の専門領域においてそれぞれ呼吸療法を展開する.しかし,患者ケアに携わるスタッフが個々に治療介入し連絡を取り合う程度の連携では,問題を解決することや成果を挙げることはできない.治療介入そのものよりも,その背後にある根源的な特性が重要で,どのようなプロセスで目標達成するかというプロセスマネジメントや達成思考力,自分の専門性を活かすためのチームにおける適応力,他の職種を活かすためのリーダーシップ,チームの方針を意思決定するマネジメント力が必要である.Competency(コンピテンシー)とは,状況に応じて発揮される知識,技術,態度などを統合した臨床能力であって,成果に直結するプロセスである.呼吸療法認定士のコンピテンシーは,患者ケア,知識技術,多職種連携・調整,コミニュケーションスキル,専門性,システムに基づく活動,の6つにまとめられると考える.実際の臨床場面では,対象患者の疾患や治療方針の理解,呼吸療法のストラテジーと介入ポイントの把握,必要な知識技術の選択と修得,必要な多職種連携や成果を挙げられるタイミングの調整,効果の検証とシステムの内省が,一連のプロセスとして必要であると考える.また,呼吸療法を担う医療チームの構成要員を養成し,かつそのレベルの向上を図ることも重要な能力である.

著者のCOI(conflicts of interest)開示

本論文発表内容に関して特に申告すべきものはない.

 
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