日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
原著
特発性肺線維症患者の運動生理学
有薗 信一 近藤 康博木村 智樹片岡 健介小川 智也渡邉 文子平澤 純俵 祐一
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2022 年 30 巻 2 号 p. 211-216

詳細
抄録

本研究では,特発性肺線維症(IPF)患者の運動耐容能の諸因子を,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者と比較し,最高酸素摂取量(peak O2)に影響する因子を明らかにすることである.対象は,IPF患者72例と,IPF患者のpeak O2をマッチングさせたCOPD患者72例であった.IPF患者とCOPD患者は心肺運動負荷試験,筋力測定,肺機能検査などを実施し,両患者間で比較した.peak O2と測定項目との相関関係を検討し,peak O2を従属変数とした多変量解析を検討した.IPF患者の換気性作業閾値と大腿四頭筋筋力はCOPD患者と同様に低値を示し,骨格筋機能低下を示した.IPF患者は運動耐容能が同じCOPD患者と比べて,運動終了時は非常に浅くて速い呼吸パターンで,骨格筋機能低下はCOPD患者と同様な低下を認めた.IPFのpeak O2には大腿四頭筋筋力の他に,FVCとDLcoの肺機能と運動中の換気血流不均等分布を表すE/CO2 slopeが影響していた.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top