日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
原著
肺癌患者における肺切除術後の低酸素血症遷延の要因
瀬川 凌介及川 真人花田 匡利名倉 弘樹新貝 和也佐藤 俊太朗澤井 照光永安 武神津 玲
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2022 年 31 巻 1 号 p. 110-116

詳細
要旨

【目的】肺癌の外科治療では,術後に遷延する呼吸不全によって酸素療法の継続を余儀なくされる患者も存在する.本研究は,退院時に酸素療法を必要とした患者の割合と,その臨床的特徴を明らかにすることを目的とした.

【対象と方法】本研究は単施設の後方視観察研究であり,2009年から2018年に長崎大学病院にて肺切除術を施行された肺癌患者を対象とした.診療録より,対象者背景,術前の呼吸機能および身体機能,手術関連項目,術後経過,退(転)院時転帰を調査した.

【結果】解析対象者は1,256件で,そのうち46件(3.7%)が酸素療法継続となった.酸素療法継続に対して重要度が高い評価項目を推定するランダムフォレスト解析において,術前の肺拡散能や6分間歩行試験中の酸素飽和度低下が抽出された.

【結語】肺切除術後患者において,術前の肺拡散能や6分間歩行試験中の酸素飽和度低下は,術後の酸素療法の必要性を予測する指標となる可能性が示唆された.

緒言

肺癌に対する胸腔鏡補助下による手術(video-assisted thoracic surgery;以下,VATS)が普及し,2016年には全肺癌手術の約70%でVATSが適用されるに至っている1.VATSの普及は,患者の早期社会復帰の実現に大きく貢献し2,3,低侵襲手術の普及に伴う周術期管理の発展は,身体的予備能力の低い高齢患者や,低呼吸機能患者,多数の併存疾患を有する患者など,いわゆるハイリスク患者にも手術適応を拡大させた4,5.このような患者では,術後経過に大きな影響を及ぼす呼吸器合併症の発症リスクが高いことが知られており,上記ハイリスク患者では,術後に呼吸不全を発症し,それが遷延,あるいは不可逆的となって酸素療法の継続を余儀なくされる患者もみられている.先行研究6,7では,退院の時点で酸素療法が継続となった術後患者は8.0-15.3%であったと報告されている.しかし,これらの報告では,術式を肺葉切除術に限定しているとともに,VATSの実施割合が少ない6など,現在の本邦の実情との相違が少なくない.また,いずれの報告も術後経過や機能予後に関連する術前の身体運動機能が評価されておらず6,7,退院時の酸素療法導入との関連性についても明らかになっていない.したがって,本邦において肺切除術後に退院時の酸素療法が必要な患者がどの程度存在し,かつどのような臨床的特徴があるかを把握する必要があると言える.

そこで本研究では,肺切除術施行患者を対象として,術後に遷延する低酸素血症のために退(転)院時に酸素療法が必要となった患者の割合,ならびに同患者群の臨床的特徴について,身体機能を含めた術前項目,術式や切除範囲といった手術関連項目,術後合併症の発症状況などの術後項目との関連性から明らかにすることを目的とした.

対象と方法

1. 対象

本研究は,単施設での後ろ向きコホート研究のデザインで実施した.対象は,2009年1月から2018年12月までの期間に長崎大学病院呼吸器外科にて,原発性肺癌,あるいはその疑いの診断で肺切除術を施行された患者とした.術前から在宅酸素療法を実施していた患者,術後院内死亡の患者は除外した.

本研究は,長崎大学病院臨床研究倫理委員会の承認を得て実施した(許可番号18082025).なお,研究の概要は同病院臨床研究センターのホームページ「臨床研究に関する情報公開(オプトアウト)」にて公開し,研究対象者に既存情報が使用されることを拒否できる機会を保証した.

2. 方法

評価内容は,術前項目,手術関連項目,術後経過項目,退院時および転院時転帰であり,診療録より調査した.

1) 術前項目

対象者の基本情報として年齢,性別,body mass index(BMI),術前の肺癌臨床病期,パフォーマンス・ステータス(Eastern Cooperative Oncology Group performance status8;以下,ECOG-PS),喫煙歴,喫煙指数(ブリンクマン指数),併存疾患の有無とその診断名,過去の手術歴を調査した.術前呼吸機能は肺活量(vital capacity;以下,VC),1秒量(forced expiratory volume in one second;以下,FEV1),努力性肺活量(forced vital capacity;以下,FVC),1秒率(FEV1/FVC),肺拡散能(diffusing capacity for the lung carbon monoxide;以下,DLCO)の実測値および予測値に対する割合を調査した.術前身体機能は筋力(握力,膝伸展筋力)ならびに運動耐容能[6分間歩行試験(six-minute walk test;以下,6MWT)]を評価した.6MWTは,米国胸部学会のガイドライン9に従って実施した歩行距離(six-minute walk distance;以下,6MWD)とともに,6MWT前後の経皮的動脈血酸素飽和度(saturation of percutaneous oxygen;以下,SpO2)を評価した.また,6MWT実施前後のSpO2の差を算出し,desaturation(以下,ΔSpO2)と定義した.

2) 手術関連項目

術式(開胸術,VATS),出血量,手術時間,切除肺容量を調査した.

3) 術後経過項目

胸腔ドレーン留置期間,術後合併症の有無を調査した.すべての術後合併症は,呼吸器外科医あるいは放射線科医によって診断されたものと定義した.そのうち肺気漏は,7日以上遷延したものに限定した.

4) 退院時および転院時転帰

本研究では,転院あるいは退院時の酸素療法使用を「酸素療法継続」と定義し,その有無を調査した.また在院日数,術後在院日数,転帰(退院,転院)を調査した.

3. 統計解析

1) 酸素療法継続群と非継続群の比較

データは中央値[四分位範囲]あるいは,対象者数および対象件数とその割合(%)にて表示した.対象者を酸素療法継続の有無によって,継続群と非継続群に分類し,両群の術前項目,手術関連項目,術後経過項目,退院時および転院時転帰について,Mann–WhitneyのU検定,χ2検定を用いて比較した.

2) 酸素療法継続に関与する項目

評価項目のうち,両群間で統計学的に有意差があった項目が,酸素療法継続にどの程度寄与するのか,その重要度を評価するためにランダムフォレスト解析10,11を用いて検討した.ランダムフォレスト解析は目的変数に対する説明変数の重要度を推定する解析方法で,各群の個体数が不均衡にあるデータにおいても,エラーバランスが保たれることが特徴である11.本研究では,臨床的視点から相対的に重要度が高い変数を酸素療法継続の因子と定めて解析を行った.解析時の木の深さの最小は1,最大は設定なしとした.また,木の数は500に設定し,ランダムサンプリングの方法は説明変数の数を22とし,一つの木は,√22の数のランダムサンプリングされた変数から構成された.

さらにランダムフォレスト解析にて重要度が高かった変数のカットオフ値を,ROC(receiver operating characteristic)曲線を用いて推定した.

統計解析にはソフトウェアIBM SPSS Statistics Version 25.0(IBM社)を,ランダムフォレスト解析はR version 3.1.1(The R Foundation for Statistical Computing 社)のrandomforestパッケージを使用し,P値が有意水準5%未満のとき,統計学的有意とした.

結果

研究対象期間中に,原発性肺癌またはその疑いにて1,198例(1,269件)に肺切除術が施行され,そのうち,13例(13件)が除外基準に該当,1,185例(1,256件)が解析対象となった.

対象者背景を表1に示す.酸素療法継続群は46件(3.7%)であった.同群は,非継続群と比較して,年齢,喫煙指数が有意に高値を示した.また,同群は男性,喫煙歴,術前併存疾患,術前からの併存呼吸器疾患[慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;以下,COPD)252例,間質性肺炎 83例,気管支喘息 63例,塵肺 30例,肺結核 19例,気腫を合併した特発性肺線維症 18例,気管支拡張症 9例,膿胸 3例]を有する割合が有意に多く,臨床病期,ECOG-PSは有意に高かった.術前身体機能として6MWTでは,継続群においてΔSpO2が有意に高値を示し,6MWT実施前後のSpO2も有意に低値を示した.呼吸機能においては,継続群でVC,%VC,FEV1,FEV1/FVC,DLco,% DLcoが有意に低値を示した.

表1 酸素療法継続群(n=1,210)と非継続群(n=46)の対象者背景・術前身体機能
非継続群(1,210件)継続群(46件)P値
年齢,歳70[63-77]75[69-78]<.001
性別,男745(61.6)38(82.6).003
BMI,(kg/m221.8[19.7-24.1]22.0[18.1-25.2].702
臨床病期<.001
1937(77.4)21(45.7)
2130(10.7)15(32.6)
399( 8.2) 9(19.6)
410( 0.8) 0( 0)
不明341
ECOG-PS<.001
01,035(85.5)29(63.0)
1149(12.3)13(28.3)
214( 1.1) 2( 4.3)
3 2( 0.2) 1( 2.2)
不明10 1
喫煙歴,あり755(62.3)43(93.5).004
喫煙指数480[0-1,000]1,030[675-1,387]<.001
術前併存疾患,あり1,002(82.8)42(91.3).004
 呼吸器併存疾患400(33.0)33(71.7)<.001
 循環器併存疾患248(20.5)14(30.4).095
握力 術側,(kg)27.7[20.6-35.1]27.8[23.1-31.1].927
   非術側,(kg)27.2[20.1-34.9]28.4[22.9-31.2].987
6MWT
歩行距離,(m)500[440-549]390[355-476]<.001
実施前SpO2,(%)97.0[96.0-98.0]96.0[95.0-97.0]<.001
実施後SpO2,(%)95.0[94.0-96.0]90.0[85.5-93.7]<.001
ΔSpO2,(%)2.0[1.0-3.0]5.5[2.3-8.8]<.001
%VC,(%)109.0[97.7-120.4]104.2[86.6-115.4].011
%FEV1,(%)103.7[91.1-118.8]97.9[77.9-110.9]<.001
%FVC,(%)108.0[96.7-119.6]103.3[83.6-115.0].260
FEV1/FVC,(%)73.1[66.1-78.8]66.7[57.5-75.3].005
DLco,(ml/min/mmHg)14.1[11.3-17.1]7.3[5.5-10.0]<.001
%DLco,(%)88.7[74.6-105.1]52.6[40.1-64.7]<.001

中央値[四分位範囲],件(%)

※術前運動評価を実施できたのは819件(65.2%)

BMI=body mass index, DLco=diffusing capacity for the lung carbon monoxide, ECOG-PS=Eastern Cooperative Oncology Group performance status, FEV1=forced expiratory volume in one second, FVC=forced vital capacity, SpO2=saturation of percutaneous oxygen, VC=vital capacity, 6MWT=six-minute walk test

手術関連項目,術後経過,退院時および転院時転帰の結果を表2に示す.手術関連項目では,継続群において,開胸術および肺葉切除以上の手術の割合および手術時間,出血量が有意に高値を示した.術後経過では,術後合併症および術後呼吸器合併症の発症割合が有意に高く,術後ドレーン留置期間においても有意な延長を認めた.退院時および転院時転帰では,在院日数,術後在院日数が有意に高値を示し,転院患者の割合が有意に高かった.

表2 酸素療法継続群(n=1210)と非継続群(n=46)の手術関連項目・術後経過・退院時および転院時転帰
非継続群(1,210件)継続群(46件)P値
アプローチ<.001
 cVATS540(44.6) 1( 2.2)
 VATS,小開胸236(19.5)11(23.9)
 開胸術433(35.8)34(73.9)
術式<.001
 部分切除132(10.9) 6(13.0)
 区域切除163(13.5) 2( 4.3)
 肺葉切除803(66.4)25(54.3)
 肺葉切除以上109( 9.0)13(28.2)
手術時間,(分)225[184-272]261[203-351].005
出血量,(mL)100.0[40.0-200.0]241.5[80.7-430.0]<.001
術後合併症発症,あり261(21.6)38(82.6)<.001
 呼吸器合併症166(13.7)35(76.1)<.001
 循環器合併症49( 4.0) 6(13.0).321
 その他合併症65( 5.4) 8(17.4).169
胸腔ドレーン留置期間,(日)3.0[2.0-4.0]5.0[3.0-7.5]<.001
在院日数,(日)15.0[12.0-19.0]24.0[18.7-36.5]<.001
術後在院日数,(日)11.0[9.0-14.0]18.0[15.0-31.3]<.001
転帰,転院234(19.3)35(76.1)<.001

中央値[四分位範囲],件(%)

cVATS=complete video-assisted thoracic surgery

ランダムフォレスト解析による変数重要度の特定においては,両群間において有意であった項目(対象者背景:年齢,性別,臨床病期,ECOG-PS,喫煙指数,併存疾患,併存呼吸器疾患,術前身体および呼吸機能:%VC,%FEV1,FEV1/FVC,%DLco,6MWD,ΔSpO2,手術関連項目および術後経過:開胸術,手術時間,出血量,切除範囲,術後合併症の発症,術後呼吸器合併症の発症,ドレーン留置期間)を予測変数とした.その結果,%DLcoおよびΔSpO2が重要度の高い項目として抽出された(図1).ランダムフォレスト解析の予測精度は96.43%,confusion matrixは表3の通りで,正解率(accuracy)は92.59%であった(表3).ROC曲線によるこの2項目のカットオフ値は,%DLcoで67.8%(感度0.83,特異度0.80,曲線下面積0.88),ΔSpO2では3.5%(感度0.64,特異度0.80,曲線下面積0.77)であった(図2および3).

図1

酸素療法の継続に対する各指標の重要度

両群間で統計学的に有意差があった項目を説明変数,酸素療法継続を目的変数としてランダムフォレスト解析を実施.

表3 confusion matrix
predicted class
positivenegative
observed
class
positive7273
negative252

正解率(accuracy)92.59%

図2

ROC曲線とカットオフ値(%DLco)

感度0.83,特異度0.80,曲線下面積0.88

図3

ROC曲線とカットオフ値(ΔSpO2

感度0.64,特異度0.80,曲線下面積0.77

考察

本研究では,原発性肺癌に対して肺切除術が行われた患者のうち,酸素療法が継続となった患者の割合および,その患者群の臨床的特徴を検討した.その結果,該当患者は46例(3.7%)であり,2つの先行研究6,7(8.0%,15.3%)より低い結果であった.これは併存疾患を有する患者の割合や術後合併症の発症率,在院日数の相違によるものと考えられる.Nicastriら7の報告では,対象者のうち併存呼吸器疾患を有する患者は全対象者の52.2%であり,術後呼吸器合併症の発症は31.6%,在院日数は8.4-9.6日で,退院時の酸素療法が適用された患者は15.3%であった.一方,本研究の対象者は併存呼吸器疾患が全対象者の34.4%であり,術後呼吸器合併症の発症は16.0%,在院日数は中央値で15.0日とNicastriら7の報告よりも併存する呼吸器疾患や術後呼吸器合併症の発症率が低く,在院日数もより長期であった.このような対象者属性の相違は,本邦における手術対象の特徴が反映されている可能性が考慮される.周術期肺癌患者の代表的な併存呼吸器疾患であるCOPDの合併は,非合併患者と比較して術後合併症の発症率が高まることが示されている12.本邦における肺切除患者の併存呼吸器疾患の割合については,Irieら13の報告においても35.1%と本研究の結果と同等であることから,本邦の肺切除術患者全般に適用な可能な結果であると考える.また,VATSは開胸術と比較して術後合併症の発生率が低いことが示されていることから14,術式の相違も先行研究と本研究の結果の相違に関与していると思われる.このようにNicastriら7の報告では,併存疾患や術後合併症の影響で酸素療法が必要な状態で退院,あるいは転院した患者が一定数存在したことが推察される.

今回,酸素療法継続群の臨床的特徴として,術前%DLco,ΔSpO2の2つの因子が抽出され,それぞれのカットオフ値として%DLcoでは67.8%未満,ΔSpO2は3.5%以上と算出された.Paulら6の報告では,糖尿病の併存,Nicastriら7の報告では,併存呼吸器疾患,肥満,術後呼吸器合併症の発症が,それぞれ継続群の特徴としてあげられており,本研究とは異なる結果であった.臨床的に,DLcoと低酸素血症との関連については先行研究にて明らかにされており,Owens15らはCOPD患者の低酸素血症について調査し,低酸素血症にはFEV1とDLcoが関連しており,特にDLcoは関連が高いことを報告した.また,日本胸部外科学会による「肺癌手術の呼吸機能からのリスク評価の指針16」では,術前%FEV1と%DLco,術後予測%FEV1と%DLco,運動負荷試験における最高酸素摂取量の3つを順に確認し,周術期合併症発症のリスクを評価することを推奨している.酸素療法継続のリスク評価の際には,上記指針の評価項目と合わせて本研究の結果を加味して評価,および解釈にあたることが有用であろうと考えた.

Brunelli17らは術前運動負荷試験における低酸素血症の存在は,術後における低酸素血症のリスクを上昇させることを示した.また,Nakagawaら18は,術前の低酸素血症が長期酸素療法導入および90日死亡率と有意に関連したと報告した.これらの先行研究は,いずれも本研究結果を支持するものと考えられる.また,3.5%以上,つまり4%以上のΔSpO2は,術後呼吸器合併症の予測因子として臨床的に良好なカットオフ値であることも報告されており18,19,先行研究と同様な結果が得られたと言える.今回,術後呼吸器合併症の発症も含めた酸素療法継続において有用なカットオフ値であることが示唆された.

一方で,先行研究にて抽出された因子は本研究では抽出されなかった.これには,先行研究で抽出された併存疾患や肥満は術後に間接的に低酸素血症および酸素療法継続に関与する可能性はあるが,本研究にて抽出された呼吸機能がより直接的に影響したものと推察される.

今回の研究では,退(転)院時の酸素療法継続の割合や,臨床的特徴および予測因子のみならず,そのカットオフ値を算出し得た点が強みである.特に,術前%DLcoに関しては上記の指針16に加えて具体的な数値を示すことができた.しかし,これらは予測因子であり,臨床場面では,症例ごとの背景や病態を踏まえて解釈する必要があることも強調したい.また,術後呼吸不全の発症は,肺切除術後の重大な合併症の1つであり,その結果としての酸素療法の継続は3.7%と必ずしも多くないものの,それに伴う患者にとっての不利益(活動制限の要因となるリスクや酸素吸入機器や器具の扱いの煩雑さなど)を認識することは,周術期管理に関わる医療スタッフにとって重要であると考える.

本研究の限界は,単施設での調査研究であり,酸素療法継続者数に制限があったことがあげられる.今後,複数施設による大規模な検討に加え,肺切除術後に酸素療法継続にて退院および転院となった患者の長期的経過,特に酸素療法離脱の可否とともに,その相違と要因についても検討を進める必要性が示唆された.

今回の研究では肺切除術が施行された3.7%の患者が退院時に酸素療法を必要とした.それに関連する指標として,術前の%DLcoが低値,術前6MWTにおけるΔSpO2の高値があげられた.これらの指標は,肺切除術を受ける患者の術後状態(酸素化障害や低酸素血症)を予測する術前評価としてその重要性を認識する必要がある.

著者のCOI(conflicts of interest)開示

本論文発表内容に関して特に申告すべきものはない.

文献
 
© 2022 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
feedback
Top