1997 年 6 巻 3 号 p. 235-240
慢性呼吸器疾患患者の長期治療と管理においてADLとQOLの向上には包括的呼吸リハビリテーションが有効とされている.今回われわれは外来の肺気腫患者に対し通院で行い,その短期効果を検討した.対象は6例の肺気腫患者で,平均年齢69.7歳,平均1秒量0.94 l,呼吸困難感はH-JのⅢ度であった.6週間にわたり,週2回の患者教育と運動指導を行った.リハビリテーション前後で一般的肺機能検査,10分間歩行距離(10 MWD) 検査,運動負荷試験,吸気閾値負荷(ITL)装置による呼吸筋耐久力試験などを行い,比較検討した.一般肺機能検査,動脈血ガス分析,胸郭可動域,トレッドミルによる運動負荷試験では有意な差は認められなかった.しかし,10 MWD検査では歩行距離が有意に増加し,また呼吸筋耐久力の有意な増加を認めた.呼吸リハビリテーションは短期効果ではあるが,肺気腫患者に有効であると考えられた.