脳血管障害症例で呼吸器合併症を生じる要因を明らかにするために,胸部X線検査で異常を認めた脳血管障害症例の背景について検討した.脳血管障害症例319例中36例で胸部X線検査上異常を認め,20例が肺炎で16例が含気の低下や無気肺であった.肺炎はすべて誤嚥性と考えられ,右下葉に生じたものが多く,高齢でADLレベルの低下した症例,脳幹部,大脳基底核が責任病巣である症例,病変が両側性である症例で生じやすく,これらは嚥下障害を起こしやすいことと関連しているものと考えられた.さらに誤嚥性肺炎は嚥下障害のある症例の中でも認知や理解力の低下した症例でとくに生じやすいことが明らかとなった.含気の低下や無気肺は右中葉で認められたものが多く,脳内右側に責任病巣があって,高齢で発症からの期間が長く,認知や理解力の低下している症例で認められやすいことが明らかとなった.