論文ID: 23-07
スパイロメトリーは呼吸機能のスクリーニング,呼吸器・呼吸器関連疾患の診断,治療,管理において必須の検査である.一方で,被験者の最大努力を得るための様々なスキルや検査中の妥当性,再現性の評価が検査者に求められ,環境面では掛け声が大きな騒音となる.施設規模や対面検査者のスキルに依存せずにサイレントに実施可能なフローセンサを接続したノートPCを遠隔から操作するモバイル検査システムを開発し実行可能性を検討した.検査者(n=5)のSystem Usability Scaleは平均65.0,User Interface 4.2±0.6(SD),検査者,被験者と同席するファシリテータの検査環境調査は全体で4.6±0.4とそれぞれ良好で,騒音レベルも日常会話レベルに止まった.測定結果(肺活量・努力性肺活量)の妥当性,再現性も良好であった.検査中のタイムラグの指摘もなく,遠隔医療や防音設備のない施設,COVID-19病棟等,様々な臨床の場で活用できる可能性が示唆された.