【目的】Preserved ratio impaired spirometry (PRISm) はのちに閉塞性換気障害や慢性閉塞性肺疾患 (chronic obstructive pulmonary disease: COPD) へ移行する危険性を有するが,本邦ではその有病率や特徴については知見が不足している.本研究の目的は,PRISmの有病率とその特徴について検討することである.
【方法】長崎県COPD検診に参加した40歳以上の地域住民を対象に,呼吸機能,身体組成,喫煙状況,International Primary Care Airways Group (IPAG) のCOPD質問票(以下,IPAG)を評価した.解析はPRISmおよび閉塞性換気障害の有病率を算出し,対象者特性との関連を検討した.
【結果】解析対象者2,907名のうち,PRISmの有病率は12%,閉塞性換気障害は10%であった.閉塞性換気障害の有病率は年代毎に有意に増加したが,PRISm群では相違はなかった.また,同群はIPAGの17点以上の割合が閉塞性換気障害の群よりも低く,BMIや喫煙指数が高くなるほど有病率が有意に増加していた.
【結論】PRISmの有病率は喫煙や肥満と関連していた一方で,閉塞性換気障害の様な加齢やCOPD症状との関連は示されなかった。