抄録
研究開発の効率を上げるための「研究開発マネージメント」の在り方を探るため、まず研究開発事例を100例収集し、研究開発費と研究成果の関係を調べる等、研究開発に関する研究を行った。 各事例に対して、研究開発テーマを「戦略性」「独創性」の2軸で評価し、第1象限より「金」「銀」「石」「鉱石」の4象限に位置づける研究開発ポートフォリオ(RDP)を提唱し、適用してみた。その結果、「戦略性」の評価度の高い研究が、パフォーマンスである売上高との間に相関があり、「戦略性」を研究マネージメントの有力な指標として使用できることがわかった。また、研究開発の結果、ブレークスルーにより「独創性」が高まったと評価された研究、及び事業性ありとの判断により戦略性が上がったと評価された研究は、「金」評価となり売上高との相関も高くなっていることがわかった。 これより、成果を挙げるための研究開発マネージメント法として、研究テーマを研究の進展と状況の変化に応じてRDP上で見直しを行い、その位置づけに見合った適正な経営資源配分を行うとする、研究開発ポートフォリオ・マネージメント方式を提唱した。