抄録
企業は長期的に成長を遂げるために、事業の組み合わせを更新し続けることにより市場の変化を乗り越えなくてはならない。自社内研究開発による事業育成を主にする日本の製造業の場合、研究開発の成果が事業創造に大きな影響を与える。従って、企業内で同時進行する様々な研究開発テーマをポートフォリオとして扱うことが、事業の組み合わせ更新のマネジメントに有効な指針となる。規模の拡大を望むのが難しい現在、重要になるのが既存資源からの削減のマネジメントである。 本研究ではこのテーマ・ポートフォリオの概念を提唱する。また、この概念を分析のフレームワークとして用いて、その妥当性を示していく。カメラ業界は既存事業としてカメラ事業を有し、既存事業をもとに新規事業を展開してカメラ産業の飽和傾向に対応してきた業界で、モデルとして最適であると思われる。