抄録
製造業企業の経営を主導するとされる商社、銀行およびメーカーの3論理の間のバランスの問題を、JSR-RDMモデルと名付けた統計的シミュレーションモデルを利用して解析した。まず各論理に対応する入力経営指標と報告した3指標について2組の指標間比率を求め、各比率はいずれも研究開発要因倍率、λのみにより制御されることを示した。次にこれらの指標間比率のλ依存性は、各論理に対応する出力経営指標群について同様に計算される指標間比率のそれと同じになることを示した。次に経営活動が最適化状態にある場合のλの記述式は、従業員1人当りの売上高が企業共通の値に収斂しているとする経験的事実を利用して求められることを示した。そしてこれを管理項目および管理標準として新たに追加することにより、さきに提案した研究開発主導型経営の経営管理法は補完されて、より完成度の高いものになるものとした。さらに上述した指標間比率のλ依存性は、3論理に対応する各入力経営指標の企業規模依存性の違いを反映するものと推定した。