研究 技術 計画
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企業経営と研究開発の関係に関するシミュレーションの試み : その13 税前利益極大化条件の包括的検討と経営管理
二宮 和彦
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1999 年 14 巻 2 号 p. 127-135

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抄録
変動する外部経営環境のもとで税前利益極大化状態を維持するに必要な経営条件をJSR-RDMモデルにより包括的に調べた。外部経営環境変動を平均的な価格変動と市場規模変動により近似すれば、税前利益極大化(下限)販売単価と現実の(下限)販売単価とは、価格変動は同じ比率で、市場規模変動は異なる比率で起こることを示した。そこで税前利益極大化状態維持に必要な経営条件は、市場規模変動により変化する税前利益極大化(下限)販売単価の値を、管理可能な経営指標を変量することにより元の値に引き戻すことで満たされるとした。市場規模の変動による税前利益極大化(下限)販売単価の値の変化に対しては、直接的のみならず、関連経営指標、すなわち限界利益、人的および物的の両固定費の値の変化を経由して間接的にも影響が及ぶことを示し、それぞれの影響を記述する関係式を導いた。その結果を統合して、市場規模が拡大あるいは縮小するにしたがって税前利益極大化(下限)販売単価はいずれの場合にも増大し、その傾向は系の研究開発要因倍率が大きいほど顕著になることを示した。最後に、増大した税前利益極大化(下限)販売単価を元の値に引き戻すための経営手段を示した。本論文で得られた知見との関連で、既報論文内容の一部を付文で訂正した。
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1999 研究イノベーション学会
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