研究 技術 計画
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バイオ・クラスターにおける産学官連携 : 特許データに基づく政策評価
西村 淳一岡田 羊祐
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2010 年 24 巻 4 号 p. 383-399

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抄録

本稿では,経済産業省が所管する「産業クラスター計画」第一期プロジェクト(2001〜2005)によって実施された「バイオ・クラスター・プロジェクト」全7地域のうち,北海道・関東・関西の3地域の参加企業601社(うち特許出願を行ったもの344社)が出願した3020件の特許書誌情報に注目し,そこに記載されている発明者の帰属先を同定して,これら発明者の組み合わせ及び発明者のクラスター計画への参加の有無によって個別特許の価値にどのような差があるかを分析した。特許価値を測る指標として,クレーム数,発明者数,技術分野数,引用情報などから合成指標を作成して分析した。主な分析結果は以下のとおりである。(1)クラスター参加者による共同発明から得られた特許は平均的価値が高い。(2)クラスター計画開始以降,参加企業の特許価値は有意に高まった。(3)企業単独発明よりも共同発明による特許価値が平均的に高くなり,特にクラスター計画に連携する大学との共同発明から得られた特許の価値が高くなった。これらの分析結果は,クラスター計画参加企業の特許価値が,産学連携を通じて有意に高まったことを示唆する。

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2010 研究イノベーション学会
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