2024 年 39 巻 1 号 p. 82-91
2022年3月に文部科学省から「研究設備・機器の共用推進に向けたガイドライン」が発出され,研究者が最大の研究成果を生み出すためには,研究設備・機器の共用,研究設備・機器を支える技術職員等の人材の活躍,それらが重要であると述べられている。大学において「研究者」とは教員・ポスドク・大学院生を指しており,学部生は含まれていない。しかしながら,学部生に対する共用設備・共用機器を活用した教育も研究力向上に十分資するのではないかと考え,共用機器を学部生の教育に活用する「国立大学法人群馬大学における機器分析に対する専門性を高めるマイスター育成プログラム」(通称,マイスター育成プログラム)を2018年から実施した。これまでに本プログラムを修了した19名の学生が配属された研究室の指導教員(以下,研究室指導教員)には,初心者指導の負担やストレスの軽減,研究室のレベル底上げなど,そして,本プログラムにおいて学生への指導役を担った技術職員にはヒューマンスキルの向上と一部業務の負担軽減などの効果が確認できた。このように,マイスター育成プログラムは一定の成果をあげており,共用設備・共用機器をマネジメントする組織として掲げている「共用機器の様々な利活用が織りなす研究力向上・チーム共用・地方創生のエコシステム」実践のための一翼を担っている。