2025 年 39 巻 4 号 p. 431-440
本稿では,近年日本において増加するCVC活動(事業会社が何らかの戦略的意図を有してスタートアップに株式等を通じて投資する活動)における制度ロジックのコンフリクトと法的リスクについて扱う。CVC活動では,制度ロジック理論における大企業的価値観とVC的価値観の二つの価値観が内在し,往々にしてコンフリクトが発生する。更にこの価値観のコンフリクトは事業会社が積極的に意思決定に携わることへのインセンティブを高めるが,このことはCVC活動の有限責任性を損なうリスクがある。米国では訴訟事例などもみられるが,このリスクについて,日本の実務家には現状十分に認識されていないと考えられ,アカデミアの立場から論点を整理し,実務家への提言を行う。