2025 年 40 巻 3-4 号 p. 325-340
イノベーション創出のためには,人材・資金・サポート・インフラ・コミュニティといったエコシステムを形成することが必要である。学術的には,多くの研究がイノベーション効率を定量的に議論している。中でも,Data Envelopment Analysis(DEA)を用いた研究は,多入力・多出力を統一的に扱える点や,各DMU(Decision Making Unit)毎の強みを活かした評価を行える点から,イノベーション効率の定量化に適しているが,エコシステムの重要性に着目し,スタートアップの異なるステージの効率性を統一的に扱う研究は極めて限定的である。本研究では,スタートアップ創出・成長を知識生産・知識事業化・事業成長の3つのプロセスに分けて,Network DEAを用いて「知識生産効率」「知識事業化効率」「事業成長効率」「全体効率」として評価を行った。その結果,日本は「知識生産効率」,「知識事業化効率」は極めて高く,「事業成長効率」は最上位国に比較すると若干低い結果となった。この結果は,今後の日本のスタートアップ政策において,何にフォーカスすべきかに関する知見を提供する。